最新記事

新型コロナウイルス

コロナ禍を上手く乗り切っているのはどの国か?49カ国ランキング

2020年7月21日(火)11時50分
高山 武士(ニッセイ基礎研究所)

おわりに

今回はコロナ禍について、「コロナ禍被害」と「経済被害」に重点を置き、現在置かれている各国の状況を整理した。結果は東南アジアが上位にランキングされ、評価には先行きの被害も織り込んではいるものの、結果的には初動対応の巧拙が大きく反映されたと言える。

ただし、今回の評価における先行きの被害の織り込み方は「コロナ被害」では足もとの感染拡大率を、「経済被害」では国際機関の見通しを利用しており、実績とは異なる。いったん感染者数が減少に転じた国でも第二波のリスクは常に抱えており、今後も継続的なコロナ対応が必要である。実際の「コロナ禍被害」と「経済被害」の動向はこれからのコロナ対応への巧拙で大きく変動しうる。

そして現在は、厳しい封じ込め政策の経済への影響が甚大であり、財政出動の余地も限られていることから、強固な行動制限に対する反発も強くなっている。今後の対応では、感染者の早期発見と隔離などの医療体制を整えて、行動制限を行う場所・業種を極力限定しつつ封じ込めをするという、これまで以上に難しい舵取りが求められていると言えるだろう。

補足──ベースライン成長率とコロナ禍後の成長率

本稿で用いたGDP損失を算出するための、ベースラインの成長率およびコロナ禍後の見通しは以下の通り16(図表6)。

Nissei200721_6.jpg

Nissei_Takayama.jpeg[執筆者]
高山 武士
ニッセイ基礎研究所
経済研究部 准主任研究員

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日産、武漢工場の生産25年度中にも終了 中国事業の

ビジネス

豊田織機の非公開化報道、トヨタ「一部出資含め様々な

ビジネス

中国への融資終了に具体的措置を、米財務長官がアジア

ビジネス

ベッセント長官、日韓との生産的な貿易協議を歓迎 米
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 3
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 4
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 7
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 8
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 9
    ロケット弾直撃で次々に爆発、ロシア軍ヘリ4機が「破…
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中