山本太郎の胸のうち「少なくとも自分は、小池さんに一番迫れる候補」
More Than a Zero Chance of Winning
「......ずっと思っていることだけど、太郎さんは政党政治向きではないと思う。もっと具体的に言えば、党首は無理じゃないかな」
一瞬だけ真顔になってから、山本は爆笑した。
「そうかもしれないです。チームプレーが苦手なのにリーダーは無理ですよね。永田町にはそもそも向いていない。それは自覚しています」
政治は数の力でもある。一人では無理だ。だから彼は新党を旗揚げした。でも組織に帰属するタイプではない。まとめることも不得手なはずだ。
これは山本の弱点であると同時に強みでもある。党議拘束はほぼない。所属する組織や幹部の意向よりも自分の思いを優先する。そんな政党の形を、山本は打ち出すことができるかもしれない。ならばそれは、忖度や世襲や数の論理ばかりが優先されてきたこの国の政治風土を、がらりと変える起爆剤になるはずだ。
すいません、そろそろ。
スタッフの声が聞こえた。これから明日の街宣のための打ち合わせだという。うなずいてマウスを手にした僕に、「私の一番の票田は」と山本が言った。「政治に興味がなかったり諦めたりしている人たちです」
つまり宇都宮とは食い合わないとの自信。あるいは理念。でも現実はどうか。とにかく7月5日に結果は出る。
<本誌2020年7月7日号掲載>
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