英米の新しい生活様式は都市脱出? 増える地方での職&家探し
郊外で家探しをするロンドン在住者が増えている...... mammuth-iStock
<規制緩和を前に、ロンドンなど大都市を脱出して、郊外で仕事や家を探す人たちが増えている......>
ロンドン郊外での職探し希望者が急増
英国では、7月上旬からパブやレストランなどの営業が再開され、ロックダウン(都市封鎖)がさらに緩和される(イングランドは7月4日。他の地域は日程が若干異なる)。また、これまでは2メートルとされていた感染防止のための対人距離も、1メートルに短縮される。しかしこうした規制緩和を前に、ロンドンなど大都市を脱出して、郊外で仕事や家を探す人たちが増えている。
仕事探しのアドバイスを提供する企業エスケープ・ザ・シティは英ガーディアン紙に対して、6月に同社のサービスに登録した人1000人のうち、ロンドンを出たいという人の割合は51%だったと述べた。前年同期は20%だったため、倍以上増加したことになる。
同社は、最近の求職者からの問い合わせ内容から判断すると、求めているものが根本的に変わったと話す。コロナ前は、ロンドンで暮らし、働くことに満足している人が多かったが、ここに来て初めて、ロンドンから離れたいという人が、ロンドンにいたいという人を上回ったという。
郊外での家探し、在宅勤務で拍車
同様に、郊外で家探しをするロンドン在住者も増えている。ガーディアン紙によると、例えばロンドン近郊のバッキンガムシャーにあるエイルズベリー・ベイルという地域では、家の内覧に申し込んだ人たちの中でロンドン在住者が占める割合が、新型コロナウイルス感染症の流行以降、44%に急増した。昨年4月は28%だった。バッキンガムシャーはロンドンに隣接した地域ではあるが、エイルズベリー・ベイルの人口密度は、ロンドンの平均と比べて30分の1となる。
英デイリーメール紙は、さまざまな都市で家探しをしている人の中で、現在ロンドンに住んでいる人の割合がどのくらいかを比較。そこから分析したところ、ロンドンからの引っ越しを考えている人たちの間では、ロンドンの通勤圏で、簡単に都心にアクセスできる場所が人気だと同紙は説明する。つまり、ロンドン郊外に引っ越しても、市内への通勤を考えていることが言えるようだ。
とはいえ、企業による在宅勤務へのシフトも、ロンドン脱出を後押しをしているようだ。ロンドン商工会議所は4月30日〜6月2日、ロンドンの企業幹部500人を対象に、新型コロナウイルスによる影響について、オンラインでの聞き取り調査を行った。