最新記事

都市脱出

英米の新しい生活様式は都市脱出? 増える地方での職&家探し

2020年6月29日(月)16時50分
松丸さとみ

郊外で家探しをするロンドン在住者が増えている...... mammuth-iStock

<規制緩和を前に、ロンドンなど大都市を脱出して、郊外で仕事や家を探す人たちが増えている......>

ロンドン郊外での職探し希望者が急増

英国では、7月上旬からパブやレストランなどの営業が再開され、ロックダウン(都市封鎖)がさらに緩和される(イングランドは7月4日。他の地域は日程が若干異なる)。また、これまでは2メートルとされていた感染防止のための対人距離も、1メートルに短縮される。しかしこうした規制緩和を前に、ロンドンなど大都市を脱出して、郊外で仕事や家を探す人たちが増えている。

仕事探しのアドバイスを提供する企業エスケープ・ザ・シティは英ガーディアン紙に対して、6月に同社のサービスに登録した人1000人のうち、ロンドンを出たいという人の割合は51%だったと述べた。前年同期は20%だったため、倍以上増加したことになる。

同社は、最近の求職者からの問い合わせ内容から判断すると、求めているものが根本的に変わったと話す。コロナ前は、ロンドンで暮らし、働くことに満足している人が多かったが、ここに来て初めて、ロンドンから離れたいという人が、ロンドンにいたいという人を上回ったという。

郊外での家探し、在宅勤務で拍車

同様に、郊外で家探しをするロンドン在住者も増えている。ガーディアン紙によると、例えばロンドン近郊のバッキンガムシャーにあるエイルズベリー・ベイルという地域では、家の内覧に申し込んだ人たちの中でロンドン在住者が占める割合が、新型コロナウイルス感染症の流行以降、44%に急増した。昨年4月は28%だった。バッキンガムシャーはロンドンに隣接した地域ではあるが、エイルズベリー・ベイルの人口密度は、ロンドンの平均と比べて30分の1となる。

デイリーメール紙は、さまざまな都市で家探しをしている人の中で、現在ロンドンに住んでいる人の割合がどのくらいかを比較。そこから分析したところ、ロンドンからの引っ越しを考えている人たちの間では、ロンドンの通勤圏で、簡単に都心にアクセスできる場所が人気だと同紙は説明する。つまり、ロンドン郊外に引っ越しても、市内への通勤を考えていることが言えるようだ。

とはいえ、企業による在宅勤務へのシフトも、ロンドン脱出を後押しをしているようだ。ロンドン商工会議所は4月30日〜6月2日、ロンドンの企業幹部500人を対象に、新型コロナウイルスによる影響について、オンラインでの聞き取り調査を行った。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

G7外相、イスラエルとイランの対立拡大回避に努力=

ワールド

G7外相、ロシア凍結資産活用へ検討継続 ウクライナ

ビジネス

日銀4月会合、物価見通し引き上げへ 政策金利は据え

ワールド

アラスカでの石油・ガス開発、バイデン政権が制限 地
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 3

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の衝撃...米女優の過激衣装に「冗談でもあり得ない」と怒りの声

  • 4

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 5

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 6

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 7

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 8

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 9

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 10

    日本の護衛艦「かが」空母化は「本来の役割を変える…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 9

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 10

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中