いよいよ強まる安倍首相の退陣観測 河井前法相逮捕でさらに逆風
首相が握るワイルドカード
安倍首相は今年、全く違う光景を思い描いていたに違いない。ホスト国の首相として東京五輪・パラリンピックを迎え、選挙で自民党を勝利に導き、もしかすると党総裁の任期を延長できるかもれない、と。そのバラ色のシナリオは、新型コロナの感染拡大で五輪延期が決まった3月に崩れ始めた。
日本のメディアが5月末に実施した世論調査の中には、内閣支持率が30%を切るものが2つあった。危険水域とされる水準だ。今月5━7日に日本経済新聞が行った調査では、支持率が前回から11ポイント減の38%に低下した。
安倍首相にはワイルドカードがある。事態を打開するため、解散総選挙に打って出るという手だ。党内からは、あり得ないが排除もし切れないとの声が聞かれる。安倍氏は首相として、5回の国政選挙で党を勝利に導いている。「安倍政権は解散風を吹かせないと持たない」と、与党幹部は指摘する。
安倍首相のもう一つの味方は、ライバルが弱いということだ。「政権を交代してほしいが、次に総理になってほしい候補者も別にいない」と、都内に住む26歳の翻訳家は話す。
首相は18日の会見で、「国民の信を問うべき時が来れば、解散を断行する」と語った。
(取材協力:宮崎亜巳)
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