いよいよ強まる安倍首相の退陣観測 河井前法相逮捕でさらに逆風
背負う数字
2007年にいちど退陣した安倍氏が、首相に返り咲いたのは2012年12月。自民党総裁として最後となる3期目の任期は、来年9月に終わる。
安倍首相は、突然辞めた07年と同じ轍は踏まないと考えているかもしれないが、ポスト安倍をめぐるレースは熱を帯びてきた。
「総理は数字を背負っている。2021年9月という数字を」と、東京を拠点に日本を見続けてきたファンドマネジャー、イェスパ―・コール氏は語る。「(後任を狙う)自民党の挑戦者たちは、駐機場で離陸する準備をしている」。
安倍首相に近いものの、世論調査の支持率が低い岸田文雄元外相は今月、ポストコロナ時代の政策立案を目指す党内の勉強会、「新国際秩序創造戦略本部」を立ち上げた。逆に世論からの支持率は高いが、自民党国会議員の間で人気が低く、安倍首相に批判的なことで知られる石破茂元防衛相は、党の二階俊博幹事長との関係を深めている。
河野太郎防衛相が首相の座を狙っているという憶測もある。
仮に安倍首相が来年9月までの任期を全うできたとしても、特に日本経済が第2次世界大戦以降で最悪の事態に陥りつつある現状、自民党内そして政策の主導権を取り戻せるだけの力の回復は難しいかもしれない。
「もしかしたら日本のコロナ対応は悪くなかったのかもしれないが、それを相殺して余りある問題があるということだろう」と、与党のベテラン議員は言う。「首相をやっている期間が長いから、国民が(安倍首相に)『飽きている』のも(支持率低下の)原因だろう」。
日本では新型コロナの爆発的な感染拡大はみられていない。しかし、初動対応や給付金支払いの遅れなどには批判がある。安倍首相は国民の不安に鈍感、といった声も聞かれる。
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