国防総省も寝耳に水、トランプのドイツ駐留米軍削減計画に青ざめるNATO同盟国
Trump's Plan to Pull Troops from Germany 'Massively Disruptive'
本誌の取材に答えて、ホワイトハウスの報道官は「現時点では発表はないが、最高司令官として、トランプ大統領は米軍の戦力を最も効果的に配置する方法と海外でのプレゼンスについて見直しを続けている」と語った。
「アメリカは、強力な同盟国であるドイツと協力して相互防衛を確実にすること、ならびに他の多くの重要な問題に引き続き全力を注いでいく」
英国のシンクタンク王立国際問題研究所(チャタムハウス)のロシア専門家キール・ジャイルズに言わせれば、この状況は戦略的コミュニケーションの明らかな失敗だ。
「現時点では、きわめて破壊的な行動だ。誰にとっても何のメリットもない」と、ジャイルズは本誌に語った。「あらゆる面で、これは最悪のやり方だ。アメリカが意思決定を行い、実施する能力があるパートナーかどうか、疑わしくなる」
「何が起きているのかがまったくわからず、誰もがハラハラしている。混乱が続く時間が長ければ長いほど、意図的に作り出されたように見える。必ずしも米政権が仕組んだ、ということではない。だが政権内で、論議を巻き起こしたい人物がいるのかもしれない」
ドイツには究極の侮辱
この計画はあまりにも不透明なため、さまざまな憶測を生んでいる。ポーランドのマテウシュ・モラウィエツキ首相は、削減した米軍部隊をポーランドに振り向けてほしいという希望を述べたが、それが実現すれば、「ドイツにとっては最悪の侮辱になるだろう」と、米政府の元高官はロイターに語った。
「今回の削減が合理的かつ思慮に富み、十分に検討された計画なのか、それとも聞こえのいいおおよその数字を言ってだけで、それがさまざまな深刻な影響をもたらしているのか。それはドイツ自身の防衛だけでなく、アメリカの活動拠点としてのドイツの役割にも関わってくる」と、ジャイルズは言う。
ドイツ西部のラムシュタイン空軍基地は、米軍の中東とアフガニスタンでの活動にとって極めて重要だ。米軍アフリカ司令部とその欧州支部は、いずれもシュトゥットガルトに本部を置いている。
政治家たちは、今後の軍縮交渉についてロシアとアメリカの間に不確実要素が多いこの時期に、ドイツから米軍の一部を撤退させることは、ロシアに利益をもたらすのではないか、という懸念を表明している。
ガーディアン紙によると、イギリス国防選考委員会のトバイアス・エルウッド委員長(保守党)は、「ドイツの防衛力の向上につながることを期待してNATOを弱体化するのは、ロシアの思うつぼになる危険なゲームだ」と語った。