「マルチタスク」など存在しない、効率がいいのは一つのタスクに集中する「ワンタスク」
1つの事柄に集中して着実に処理する、それを繰り返すことで成果を上げることができる fizkes/iStock.
<そもそも同時並行で複数のタスクを処理しようとするから仕事が終わらない>
新型コロナウイルスの感染予防策としてリモートワークが推奨される今、在宅勤務でむしろ仕事量が増えている人もいるかもしれない。「今日も仕事が終わらなかった」「やってもやっても、次々にやるべきことが増えていく」――そんな思いで、一日を終える人も少なくないだろう。
仕事と言っても、会議、打合せ、資料作成、メール返信、事務処理など、数えきれないタスクがあるため、それは当然とも言える。時間を割いて処理しているが、どのタスクもなかなか終わらず、終わったとしても満足な結果が出ない......。
そこで、飛びつくのが「マルチタスク」。同時並行で複数のタスクを処理する「マルチタスク」で日々のタスクをこなすのが、優れたビジネスパーソンだと思ってしまう。
しかし、そこで無理が生じる。たとえば、電話などで話をしながら、無関係のメールや書類に目を通したとき、電話の内容も、メール(書類)の内容も、しっかり頭に入っているだろうか。意識が散漫になることで、結果、どちらの内容も頭に入らない。仕事が進まない、といった状況に陥りがちではないだろうか。
マルチタスクは幻想であり、そんなものは存在しない――そう断言するのは、碓井孝介氏。5つの仕事に携わり、司法書士や監査業務、講演、経営など、多様な能力が求められる仕事を同時並行で進め、成果を挙げているという。
その経験と実践から碓井が提唱するのは、まず、タスク処理の発想と方法を変えること。複数のタスクを同時並行でこなすのではなく、一つの事柄に集中して着実に処理をする。それを繰り返すことで「確実な成果」を必ず手にすることができるうえ、効率よく仕事を進めることも可能になる。
このたび碓井氏はその「一点集中」で仕事を進めるコツとスキルを『図解でわかる 一点集中のすごいコツ――最強の時短仕事術』(CCCメディアハウス)で公開。ここではその一部を抜粋し、3回に分けて掲載する。
*抜粋第2回:「最強の時短仕事術」で、毎朝やるべき1つのこと
*抜粋第3回:仕事への集中を邪魔するスマホは大敵、ではどうすればいい?
Task Rule 4 「ワンタスク戦略」を自分のものにする
◆一つのタスクに集中するために
本書を読んで、ぜひとも一つのタスクに集中し、結果につながる成果を出してほしい、そう思います。
そのためには、必要なことが2点あります。本書を読み進める際は、この2点を頭に入れて読み進めてください。
一つ目。本書で紹介する「一つのタスクに集中するための工夫」を、日々のタスク処理に「ルーティン化・定番化」して用いることです。
二つ目。一つに集中する工夫を、自分のタスクに合うように「カスタマイズ」すること。
この2点を意識して、ワンタスク戦略で日々のタスクに取り組めば、成果を積み上げることが可能になるのです。