混乱のインドネシア、感染対策より政治優先の知事が規制緩和 邦人は日本料理店「闇営業」で対立
感染増える地方からの上京者に懸念
インドネシアでは最近、ジャカルタがあるジャワ島の東ジャワ州とスラウェシ島の南スラウェシ州、カリマンタン島南カリマンタン州での感染者数が急増し「感染の新たなエピセンター」と指摘される事態となっている。
このため感染拡大防止の重点州として当該3州に中央政府から保健省関係者を急派するなどの対策がとられている。
これまで全国で約50%を占めていたジャカルタの感染者の比率は現在ではこうした地方への感染拡大で相対的に低下しているものの、ジャカルタの比率は現在でも依然として約25,8%となっている。
また、断食月が明けた5月末にジャカルタから地方に帰省した数十万人の市民が、6月初めからUターンを始めたこともあり、ジャカルタで今後上京者から感染が拡大する可能性も指摘されている。
規制が緩和されたジャカルタ市内にはこうした地方からの感染を持ち込む可能性もあるUターン者に混ざって多くの失業者、生活困窮者などが生活の糧や日銭を稼げる仕事を求めて街頭に繰り出している。
それだけに規制が緩和されたにも関わらずこれまでに以上に感染の危険が高まっているといえるだろう。在留日本人にもさらなる注意が求められているといえる。
[執筆者]
大塚智彦(ジャーナリスト)
PanAsiaNews所属 1957年東京生まれ。国学院大学文学部史学科卒、米ジョージワシントン大学大学院宗教学科中退。1984年毎日新聞社入社、長野支局、東京外信部防衛庁担当などを経てジャカルタ支局長。2000年産経新聞社入社、シンガポール支局長、社会部防衛省担当などを歴任。2014年からPan Asia News所属のフリーランス記者として東南アジアをフィールドに取材活動を続ける。著書に「アジアの中の自衛隊」(東洋経済新報社)、「民主国家への道、ジャカルタ報道2000日」(小学館)など
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