最新記事
事件米、黒人暴行死への抗議デモでジャーナリスト被害相次ぐ 警察がゴム弾直撃
米各都市で黒人暴行死事件に端を発する抗議活動が激しさを増す中、ミネアポリスで5月30日夜、取材していたロイターのTVクルーメンバー2人がゴム弾の直撃を受けたほか、写真記者1人のカメラが壊された。写真はミネアポリスで5月撮影(2020年 ロイター/JULIO CESAR CHAVEZ)
米各都市で黒人暴行死事件に端を発する抗議活動が激しさを増す中、ミネアポリスで5月30日夜、取材していたロイターのTVクルーメンバー2人がゴム弾の直撃を受けたほか、写真記者1人のカメラが壊された。
Julio-Cesar Chavezカメラマンが撮影した映像によると、午後8時に外出禁止令が発動された直後、ミネアポリス南西部で約500人のデモ参加者を排除するために警察がゴム弾や催涙スプレー・ガスを使用した際、1人の警官が同カメラマンを直接狙っている様子が映されている。
同カメラマンは「私が撮影していた警察官が向きを変え、ゴム弾のライフルを直接私に向けた」と語った。
数分後、同カメラマンとロイターのRodney Sewardセキュリティーアドバイザーが付近のガソリンスタンドに避難していた際にゴム弾で撃たれた。同カメラマンは首の後ろと左腕を撃たれた。
安全なところに走って逃げる際に撮影された映像によると、複数の銃声が鳴り響いており、Sewardセキュリティーアドバイザーが「ゴム弾で顔面を撃たれた」と叫んでいる様子が記録されている。
ミネアポリス警察当局のジョン・エルダー報道官にこの件について尋ねたところ、映像のコピーを求められたため、ロイターはその後コピーを提供した。ただ、当局からは31日時点でコメントを得られていない。
ロイターの広報担当者は31日、「われわれはミネアポリスで警察がクルーにゴム弾を発射したことに強く抗議するとともに、当局とともに今回の事態に対処している」と表明。「記者とセキュリティーアドバイザーがともに報道のメンバーであり、社会秩序の脅威になっていないことは明らかだった。ジャーナリストは嫌がらせや危害を受ける恐れなしにニュースの報道が許されなければならない」とした。
「報道の自由のための記者委員会」の集計によると、ロイターのジャーナリストのほか、30日には警察がゴム弾・催涙ガスを発射した状況下で少なくともほかに15人のニュースメディアメンバーが負傷。また、このほかに少なくとも6人がデモ参加者や身元不明の襲撃者による攻撃で負傷したほか、CNN、CBS、ハフィントンポストのジャーナリストが拘束された。
また、ロイターのLucas Jackson写真記者は30日、バールを振りかざした1人のデモ参加者にカメラを壊された。同記者によると、赤い医師用の十字がくっきりと描かれた防弾チョッキを着用した若い白人の男が「ここから出ていけ!」と叫んだ後にカメラを破壊したという。
ロイターのジャーナリストはニュースメディアのメンバーとしての身分を明確にしていた。ChavezカメラマンとJackson写真記者はカメラを持ち、首から記者証を下げていた。Sewardセキュリティーアドバイザーはプレスのラベルが貼られた防弾ベストを着用していた。
2020年6月9日号(6月2日発売)は「検証:日本モデル」特集。新型コロナで日本のやり方は正しかったのか? 感染症の専門家と考えるパンデミック対策。特別寄稿 西浦博・北大教授:「8割おじさん」の数理モデル