米兵の首に懸賞金を懸けていたロシアの「29155部隊」とは
What Is Unit 29155? The Russia Intel Branch Accused of U.S. Troop Bounties
29155部隊は、2018年にイギリスで起きたロシア人の元二重スパイ暗殺未遂事件に関与したと考えられている。英国諜報部のためにスパイ活動を行っていた元GRU工作員セルゲイ・スクリパリは、2006年にロシア当局に起訴され、有罪判決を受けた後、2010年に米露が合意したスパイ交換で釈放され、英国に亡命していた。しかし、2018年3月に英南部の都市ソールズベリーで、娘とともに神経剤攻撃を受けた。命を取り留めた父娘は新しい身元を得て、ニュージーランドに移住したと見られている。
のちにべリングキャットが身元を明らかにした暗殺未遂犯は、スクリパリの自宅玄関に神経剤ノビチョクを吹き付けるために使ったボトルをごみ箱に捨てた。ところが、それを見つけた別の男性が香水ボトルだと勘違いした。男性は危篤状態に陥りながらも一命をとりとめたが、パートナーは死亡した。
29155部隊はまた、2016年にバルカン半島のモンテネグロで発生したクーデター未遂事件にも関与したとされている。このクーデターは、同国の親ロシア派国会議員が、モンテネグロのNATO加盟を何とか妨害しようとして企てたとされている。計画の背後にはロシアとセルビアがいたとされ、モンテネグロ国会を襲撃し、ミロ・ジュカノビッチ首相を暗殺する予定だったという。
邪魔する者は消す
モンテネグロ当局によってクーデターは阻止され、ロシア国籍の男性エドワルド・シシュマコフとウラジミール・ポポフの2名が不在のまま起訴された。ロシア政府はクーデター未遂事件への関与を認めていない。モンテネグロ検察によれば、シシュマコフは以前、GRU工作員であることが判明してポーランドから国外追放された男だ。
英ソールズベリーで元スパイ毒殺未遂事件を実行したGRU工作員は、2015年にブルガリアの兵器販売者エミリアン・ゲブレフの毒殺を2度にわたって試みた一味と見られている。べリングキャットが29155部隊の関与を突き止めた事件はほかにも、2014年のロシアによるクリミア併合や、同じく2014年のモルドバ不安定化を目的とした秘密工作がある。GRU工作員が2016年と2017年にスイスへ定期的に入国していた証拠も発見されている。
29155部隊は現在、スペインで捜査の対象となっている。これは、2017年秋にカタルーニャ自治州で実施された独立住民投票の前と最中に、同部隊の工作員が州都バルセロナを訪れていたことが、べリングキャットの分析によって明らかになったのだ。
(翻訳:ガリレオ)
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