最新記事

教育

全国22万人の小中学生が、夕食を独りで食べている

2020年6月24日(水)13時30分
舞田敏彦(教育社会学者)

成長途上にある子どもにとって孤食が続くのは好ましくない Miljan Zivkovic/iStock.

<孤食の子どもたちへの「食育」を提供するために、各地で「子ども食堂」の取り組みが広がっているが......>

共働き世帯や一人親世帯が増えているが、それに伴う問題として子どもの「孤食」の問題が指摘される。読んで字のごとく、一人でご飯を食べることだが、成長の途上にある子どもにとって孤食ばかりというのは好ましくない。ファーストフード等に依存しがちになり、栄養が偏る。食を通じて人間関係を取り結ぶスキルを育む機会も失われる。

そこで最近では、各地で「子ども食堂」の実践がされている。一人でご飯を食べざるを得ない子どもを集め、栄養バランスのよい料理を皆で楽しく食べる。今後、ますます増えてくる地域密着人口(退職高齢者等)の力も借りて、こうした取り組みが広がることが望まれる。

ただ、実践を体系的・効率的に進めるためにはデータも必要になる。孤食をする子どもは日本全国にどれくらいいるのか。やや古いが、2011年の総務省『社会生活基本調査』のデータを加工してパーセンテージを出してみる。

この調査では15分刻みの時間帯別の行動を尋ね、当該の行動を誰と一緒にやったかも記録している。小学生(10歳以上)で言うと、平日の朝7:00~7:15に食事をした者は38.28%、一人で食事をした者は1.82%となっている。よって、この時間帯の孤食率は後者を前者で割って4.75%となる。

たった15分では狭いので、観察対象の時間帯を広げ、朝食は6:30~7:30、昼食は12:00~13:00、夕食は18:30~19:30の時間帯(各1時間)で見てみる。<表1>は、小学生の朝・昼・夕の孤食率を試算したものだ。

data200624-chart01.jpg

孤食率は朝が最も高い。親が帰って来ない夕食かと思いきや、そうではないようだ。親が早く出勤してしまう、家族皆がバタバタで食卓を一緒に囲んでいないなど、いろいろ事情は考えられる。

昼は給食があるので孤食率は低いが、給食を実施していない学校では昼の孤食もあり得る。夕の孤食は朝ほどではないが、少し高くなる。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

日経平均は4日続伸し一時3万6000円回復、米中摩

ワールド

プーチン氏、北朝鮮の協力に「心から感謝」 クルスク

ビジネス

NEC、今期の減収増益見込む 25年3月期営業益は

ビジネス

三菱電の今期営業益 過去最高更新へ 米関税の影響も
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    体を治癒させる「カーニボア(肉食)ダイエット」と…
  • 7
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 8
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 7
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 8
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 6
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 7
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 8
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 9
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 10
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中