全国22万人の小中学生が、夕食を独りで食べている
成長途上にある子どもにとって孤食が続くのは好ましくない Miljan Zivkovic/iStock.
<孤食の子どもたちへの「食育」を提供するために、各地で「子ども食堂」の取り組みが広がっているが......>
共働き世帯や一人親世帯が増えているが、それに伴う問題として子どもの「孤食」の問題が指摘される。読んで字のごとく、一人でご飯を食べることだが、成長の途上にある子どもにとって孤食ばかりというのは好ましくない。ファーストフード等に依存しがちになり、栄養が偏る。食を通じて人間関係を取り結ぶスキルを育む機会も失われる。
そこで最近では、各地で「子ども食堂」の実践がされている。一人でご飯を食べざるを得ない子どもを集め、栄養バランスのよい料理を皆で楽しく食べる。今後、ますます増えてくる地域密着人口(退職高齢者等)の力も借りて、こうした取り組みが広がることが望まれる。
ただ、実践を体系的・効率的に進めるためにはデータも必要になる。孤食をする子どもは日本全国にどれくらいいるのか。やや古いが、2011年の総務省『社会生活基本調査』のデータを加工してパーセンテージを出してみる。
この調査では15分刻みの時間帯別の行動を尋ね、当該の行動を誰と一緒にやったかも記録している。小学生(10歳以上)で言うと、平日の朝7:00~7:15に食事をした者は38.28%、一人で食事をした者は1.82%となっている。よって、この時間帯の孤食率は後者を前者で割って4.75%となる。
たった15分では狭いので、観察対象の時間帯を広げ、朝食は6:30~7:30、昼食は12:00~13:00、夕食は18:30~19:30の時間帯(各1時間)で見てみる。<表1>は、小学生の朝・昼・夕の孤食率を試算したものだ。
孤食率は朝が最も高い。親が帰って来ない夕食かと思いきや、そうではないようだ。親が早く出勤してしまう、家族皆がバタバタで食卓を一緒に囲んでいないなど、いろいろ事情は考えられる。
昼は給食があるので孤食率は低いが、給食を実施していない学校では昼の孤食もあり得る。夕の孤食は朝ほどではないが、少し高くなる。