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産油国が地獄を見る2020年に、独り勝ちするサウジアラビア

The Oil Crash’s Unlikely Winner

2020年5月19日(火)20時00分
ジェイソン・ボードフ(コロンビア大学グローバルエネルギー政策研究所所長)

アメリカとの関係でも、サウジアラビアは優位に立ったと言える。3月の価格戦争中に同国を出たタンカーの一群は、もうすぐアメリカの港に着く。そして、既に飽和状態の米国市場に普段の3倍もの量の原油を送り込む。当然、アメリカの政治家は腹を立てるだろうが、それでも6月に予定される次のOPECプラスでは、再びサウジアラビア政府に頼み込んで生産削減の延長か削減幅の拡大に応じてもらうしかない。

ほんの数週間前まで、サウジアラビアの未来は真っ暗に見えた。しかし数年先を見通せば、この国の立場は確実に強くなる。サウジアラビアの指導者たちは2014年後半に、アメリカのシェールガス・石油生産を牽制するために原油価格の下落を仕掛けたが失敗した。しかし今回のパンデミック対応ではうまく立ち回っている。

これでサウジアラビアは国際社会での地政学的地位と石油市場における支配力を強化できる。一時の生産削減も将来の増産の布石と思えば、痛くもかゆくもない。

From Foreign Policy Magazine

<本誌2020年5月26日号掲載>

【参考記事】原油価格「マイナス40ドル」、消費者に恩恵は?
【参考記事】新型コロナ流行の中、勝者は結局アメリカ? サウジ対ロシア原油戦争の行方

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