コロナ対策で移動手段は公共交通機関から自転車へシフト
パリでもロックダウン解除に向けて自転車が人気 REUTERS/Charles Platiau
<ロンドンでは、公共交通機関の輸送力はコロナ危機前と比べわずか20%になる見込みで、自転車の利用者は10倍になると予想している......>
運動不足解消&公共交通機関避け、自転車が人気に
英国のボリス・ジョンソン首相は10日(現地時間)、外出禁止令をさらに6月1日まで延長し、その後は条件が満たされれば段階的に緩和していくと発表した。国民に向けたこの演説の中で同首相は、建設業や製造業など、自宅での勤務が難しい人の場合は出勤を奨励するとした。ただしその際は、「可能であれば公共交通機関は使わず、車や徒歩、自転車で移動してほしい」と訴えた。
英政府はこれまでも、新型コロナウイルス感染症拡大の予防策として、公共交通機関はできれば使わないよう国民に呼びかけていた。こうしたこともあり、移動手段として、自転車が注目を集めている。
英国では、3月23日に外出禁止令が発表されてロックダウン状態になって以降、「1種類のエクササイズ」での外出は許可されており、これには自転車が含まれている。そのため、ロックダウン中の運動不足解消に、自転車を始める人が増えているという。
グラント・シャップス運輸相は9日に首相官邸で、国内の道路インフラを歩行者と自転車用に合ったものに整備しなおすために20億ポンド(約2657億円)を投じる計画を発表したが、その際にも、生活必需品の調達やエクササイズなどで、ロックダウン中は自転車人口が70%増加した地域もあったと述べた。
英公共放送BBCも、自転車の売り上げが全国的に伸びている他、物置にしまってあった自転車を引っ張り出してきた人からの修理の依頼も増えていると報じた。
「自転車通勤スキーム」の利用が急増
英国ではこれまでも、自転車通勤を促す政策として、「自転車通勤スキーム」が実施され、活用されてきた。会社員が勤務先を通じて自転車やアクセサリーを注文すると、代金は給料から毎月天引きされていき、その分は所得税が控除される。最終的には25%以上割安で自転車が手に入るという仕組みだ。
この自転車通勤スキームは当初、公共交通機関の混雑緩和や自動車による温室効果ガス排出の削減を目指すものだったが、コロナ対策の通勤手段としても活用されているようだ。
BBCによると現在、医療機関で働く人たち(外出禁止令中も出勤する人たち)から「自転車通勤スキーム」の申し込みが殺到しており、自転車の注文件数は200%増になっているという。