韓国ではじまった「ニューノーマル」 コロナ封じ込め成功の要因とこれから
さらに大邱は首都圏との日常的な人的交流がそれほど多くはない。人口の4割が集中する首都圏で感染が広がると、首都はロックダウンに追い込まれかねない。新天地教会の感染が収束したあと、感染は海外からの入国者に移行したが、政府が大邱地域をロックダウンの一歩手前である「特別管理地域」に指定して以後、首都への流入が制限され、対策を講じる時間ができた。
大韓病院協会が主管したオンラインカンファレンスで、SARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)の経験が有効に作用したという声や政府による個人情報管理を指摘する意見も述べられた。
秋冬の再流行に備え、専門調査員の人員不足が問題に
いっぽう、このカンファレンスで、秋から冬にかけて大流行する危険性に備えるべきという声が上がった。
理事長は患者のデータ管理が十分にできていないと発言した。中国は2か月あまりで臨床データや患者データを確保したが、韓国はデータ管理や論文など、現場と研究の連携ができておらず、自治体によって対応に大きな差があったと指摘した。またソウル市は感染者1人1人の詳細な行動履歴を公開したが、行き過ぎた人権侵害であり、人権に敏感な国は別なアプローチが必要という意見である。
防疫当局は秋冬の新型コロナウイルス再流行に備え、保健所や診療所など約1000か所の「呼吸器専門クリニック」を設置すると明らかにしたが、一方で専門調査員の人員不足が問題になっている。
疾病管理本部は2月に疫学調査官を募集したが、4人の採用予定に対し、実際に採用できたのは2人だけだった。3月の2次募集は8人の採用を予定したが、1人しか採用できなかった。医師免許を有する調査官は定員13人に対して6人しかいない。医師免許を有しない調査員も定員割れが続いている。
新型コロナウイルスの1日あたり感染者が200人に達した2月半ば、保健福祉部は調査員を増員すると大統領に報告し、120人余を募集したが採用できたのは71人だった。調査員は契約職で2年ごとに更新する。使命感や高い年俸だけで増員することは難しく、契約延長や昇進を含む人事システムの見直しが必要だと専門家は指摘している。