最新記事

感染症

「米、新型コロナウイルス死者予測引き上げ 8月までに13.5万人」ワシントン大

2020年5月5日(火)10時32分

米ワシントン大学保健指標評価研究所(IHME)は、モデル分析に基づく8月初旬までの米国での新型コロナウイルス感染による死者数が約13万5000人に達すると予測した。ニューヨーク市で3日撮影(2020年 ロイター/EDUARDO MUNOZ)

米ワシントン大学保健指標評価研究所(IHME)は4日、モデル分析に基づく8月初旬までの米国での新型コロナウイルス感染による死者数が約13万5000人に達すると予測した。先月発表した前回予測からほぼ倍増した。

新たな予測は、新型ウイルス感染拡大防止に向けたロックダウン(都市封鎖)措置緩和による移動増加の影響などが考慮された。

IHMEのモデルが示す新型ウイルス感染の第1波による国内の死者数は、先週時点で7万2400人だった。

一方、米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)とワシントン・ポスト(WP)は4日、米政府の内部資料で、国内の1日当たりの新型コロナウイルス感染者と死者数が今月急増するとの試算が示されていると報じた。

NYTによると、この内部資料は米疾病対策センター(CDC)のモデルに準拠して米連邦緊急事態管理局(FEMA)が取りまとめたもので、1日の死者数は5月末までに3000人と、現時点の2000人から加速すると予想。感染者数は5月末までに毎日約20万人増加するとし、現在の約2万5000人から大幅な増加を見込んでいる。

WPも、政府の「草案」文書で新型コロナ感染者数と死者数が5月14日前後から急増し始め、6月1日までにそれぞれ1日約20万人と3000人に加速するとの予想が示されているとし、同様の内容を伝えた。同紙によると、文書の作成に関与したジョンズ・ホプキンズ大学ブルームバーグ公衆衛生大学院の疫学分野の教授は、同文書について、さまざまな可能性やモデルが含まれており、未完成のデータとしてCDCに提示されたと説明した。

ホワイトハウスのディア報道官はNYTの報道について聞かれ、「これはホワイトハウスが準備した資料でもなく、新型ウイルスタスクフォースに提出された資料でもない。省庁間の調査を受けたものでもない」とし、「トランプ大統領は国民の健康を最優先事項に据えている。一部の州の感染拡大抑制策緩和を緊密に注視する中、この最優先事項には変わりはない」と述べた。

ロイターの集計によると、米国の新型ウイルス感染者数は110万人を超え、感染による死者数は6万8000人に近づいている。

トランプ大統領は感染による死者数の予想を二転三転させており、先週初めには6万─7万人としていたが、1日には10万人に達しないことを望むと表明。3日夜にはさらに増える恐れがあると警告した。

米国ではニューヨーク州が感染件数の約3分の1を占めているが、同州のクオモ知事は4日、新型ウイルス流行で休止状態にある同州の経済活動の段階的な再開を巡る概要を発表。まずは州内でウイルスの影響が最も限定的な地域で建設業などの一部業種の活動再開を認める。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【関連記事】
・「集団免疫」作戦のスウェーデンに異変、死亡率がアメリカや中国の2倍超に
・東京都、新型コロナウイルス新規感染87人確認 都内合計4655人に(インフォグラフィック)
・韓国のコロナ対策を称える日本に欠ける視点
・トランプ「米国の新型コロナウイルス死者最大10万人、ワクチンは年内にできる」


20050512issue_cover_150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年5月5日/12日号(4月28日発売)は「ポストコロナを生き抜く 日本への提言」特集。パックン、ロバート キャンベル、アレックス・カー、リチャード・クー、フローラン・ダバディら14人の外国人識者が示す、コロナ禍で見えてきた日本の長所と短所、進むべき道。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

原油先物は横ばい、米国の相互関税発表控え

ワールド

中国国有の東風汽車と長安汽車が経営統合協議=NYT

ワールド

米政権、「行政ミス」で移民送還 保護資格持つエルサ

ビジネス

AI導入企業、当初の混乱乗り切れば長期的な成功可能
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 6
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 7
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 8
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 9
    【クイズ】2025年に最も多くのお金を失った「億万長…
  • 10
    トランプが再定義するアメリカの役割...米中ロ「三極…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 3
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥーが解明される...「現代技術では不可能」
  • 4
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 7
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中