「収入減少者に毎月10万円給付を、検査能力向上が重要」 政府諮問委員・小林慶一郎インタビュー
停滞長期化、回避には検査・隔離能力引き上げを
コロナ感染拡大に伴って、最も影響を受けたのは、個人の心理であると小林氏は指摘した。感染への不安感が行動を委縮させ、それが長期化することで、3─4年間の世界経済や日本経済の停滞が予想されると主張した。
これを回避するために「ポール・ローマー(スタンフォード大教授)氏が最新の論文で指摘しているように、検査能力と隔離能力を大幅に引き上げ、経済マーケットの中に陽性者がいないと多くの人が認識し、安心できるようにすることが重要だ」と指摘した。
今のままでは、個人も企業経営者も、感染リスク拡大への不安感が残り、安心して経済活動に参加できず、結果として経済の停滞が長期化すると指摘した。
行政のオンライン化も不可避
移動規制の結果、テレワークが日本国内でも初めて本格的に普及。今後はテレワークが「標準形態」として社会的に認知され、広がっていくと主張した。これに対応し、国や地方などの行政サイドも新しい対応が求めれると分析。行政のオンライン化の進展は不可避であり、今後、急いで対応すべき課題であるとした。
また、法的にもオンラインでのサインを認める「電子契約」の法的枠組みを実態に合わせて整備する必要があると語った。
テレワークの普及で、都市部でのオフィス需要は減少していく可能性があると予想。コロナ対策でオフィス内での人と人との間隔を空けるために、広い面積のオフィスが必要になることもあるが、全体としてのオフィス需要は減少しそうだとの見方を示した。
一方、所属する企業と社員の自宅が同じ都道府県内に所在する必要性は薄れ、地方で広い住宅を購入するニーズが高まり、地方での住宅需要が高まる可能性にも言及した。
インタビュアー:田巻一彦
(編集:石田仁志)
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