「感染経路不明」を潰すため米各州が「接触追跡官」を数千人単位で募集
U.S. Needs Thousands of Contact Tracers, Here's What It Takes to Become One
感染経路追跡アプリの開発も進んでいるがそれを使う人間もいる Bill Oxford/iStock.
<感染経路不明という「地雷」を除去するために、アメリカの各州が「接触追跡官」の大量公募を開始した。これからは公衆衛生を守る人員を増やす時代だ>
新型コロナウイルスの感染拡大を抑制するために、アメリカの一部の都市や州では、感染者と接触した人々を特定するための「追跡部隊」を募集している。
接触追跡には時間がかかる。まずは、新型コロナウイルスへの感染が確認された人と接触した可能性がある人々を特定。その後、それらの人々を隔離して症状が出ないかどうかを観察し、それ以上の感染拡大を防ぐことを目指すという流れだ。
ニューヨークのビル・デブラシオ市長は4月27日、1000人の接触追跡担当者を緊急募集すると発表。追跡作業に手を貸してもいいと考えている人は是非応募して欲しいと述べ、「今すぐに皆さんの手助けが必要だ」と呼びかけた。
同市の保健当局と連携している非営利団体の「ニューヨーク公衆衛生基金」は、ウェブサイトに募集要項を掲載。職種は2種類で、公衆衛生アドバイザーⅠ(年俸は5万7000ドル)と公衆衛生アドバイザーⅡ(同6万2000ドル)だ。公衆衛生アドバイザーⅡの方が高い学歴と経験が求められ、またどちらの職種についても、ニューヨーク市民を優先的に採用すると説明している。
応募条件は大学の学位か現場経験
「公衆衛生アドバイザーⅠ」に応募する人は、認可を受けた大学で学士号を取得している(衛生学、または保健科学・社会科学・生物科学のいずれかが必修)か、感染経路の追跡分野で最低6カ月のフルタイムの現場経験があると望ましい。大学の学位は必須ではないが、高卒の人またはそれと同等の学歴の人は、4年間のフルタイムでの現場経験がなければならない。
「現場経験」とは、聞き取り調査や実地調査、健康リスクの評価、疫学データの収集・分析の経験など。
「公衆衛生アドバイザーⅡ」に応募する人は、物理科学・生物科学・環境科学または公衆衛生の中の職務に適した分野について、修士号を取得していなければならない。学士号のみの人は18カ月のフルタイムの現場経験、高卒の人は6年間のフルタイムの現場経験が必要だ。
どちらの職務も在宅で行い、電話での聞き取り調査をして、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)と確認された人の接触履歴を追跡する仕事だ。入手した情報をデータシステムに入力し、必要であれば直接会って調査を行うことも求められる。
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<参考記事>WHO「日本は経路不明の新型コロナウイルス感染増で対策強化の必要も」