最新記事

感染症対策

「感染経路不明」を潰すため米各州が「接触追跡官」を数千人単位で募集

U.S. Needs Thousands of Contact Tracers, Here's What It Takes to Become One

2020年4月28日(火)17時45分
ジェニ・フィンク

マサチューセッツ州も、感染者の接触追跡作業を手伝ってくれる約1000人を募集しており、非営利の医療団体「パートナー・イン・ヘルス(PIH)」をはじめとする複数の公共・民間機関がこれに協力している。PIHが公表した応募条件はニューヨーク市ほど厳しくなく、高校の卒業資格または同等の資格があれば誰でも応募できる。追跡部隊のメンバーに選ばれた人は訓練を受ける必要があり、時給27ドルが支払われる。

ミズーリ州セントルイス郡の公衆衛生当局も、接触追跡担当者を探している。求人サイトのグラスドアに掲載された情報によれば、応募条件は18歳以上で高卒またはそれと同等の資格があること。だが追跡業務に関連した現場経験があるか、保健・病気に関する知識がある人が優先される。

アメリカは新型コロナウイルスの感染者が世界で最も多く、4月27日の時点で感染者は97万2969人にのぼっている。各州は1カ月以上にわたる外出制限などの取り組みを経て、規制の緩和や経済活動の再開を検討しているが、感染経路を追うきちんとした仕組みがなければ再び感染が拡大して死者が増え、国の機能が損なわれる事態につながりかねないと懸念している。

米疾病対策センターのロバート・レッドフィールド所長は4月9日、公共放送ナショナル・パブリック・ラジオ(NPR)に対して、アメリカは公衆衛生担当者を「大幅に増やす」ための取り組みを行っていると説明。コミュニティーでの感染拡大が、コミュニティー内で長期間にわたって伝染が続く状態を招くリスクは冒せないとして、感染者の接触履歴を追跡する体制は「非常に重要」だと述べた。

州によって応募条件は異なるが、レッドフィールドは21日にNPRに対して、CDCでは追跡部隊を最大5万人態勢に拡充する用意があると語った。

20200428issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年5月5日/12日号(4月28日発売)は「ポストコロナを生き抜く 日本への提言」特集。パックン、ロバート キャンベル、アレックス・カー、リチャード・クー、フローラン・ダバディら14人の外国人識者が示す、コロナ禍で見えてきた日本の長所と短所、進むべき道。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ゼレンスキー氏と米特使の会談、2日目終了 和平交渉

ビジネス

中国万科、償還延期拒否で18日に再び債権者会合 猶

ワールド

タイ、2月8日に総選挙 選管が発表

ワールド

フィリピン、中国に抗議へ 南シナ海で漁師負傷
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 2
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジアの宝石」の終焉
  • 3
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 4
    極限の筋力をつくる2つの技術とは?...真の力は「前…
  • 5
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 6
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 7
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    大成功の東京デフリンピックが、日本人をこう変えた
  • 10
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 9
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中