ベルギーの死亡率が世界一高いといわれる理由、ポルトガルが低い理由......
ベルギー・ブリュッセルの医療スタッフ REUTERS/Yves Herman
<世界一死亡率が高いとされるベルギー、また欧州の中で死亡率がかなり低いポルトガル、その理由は何なのか......>
新型コロナウィルスに関して、ポルトガルの人口100万人あたりの死亡率は約89で(27日現在)、ヨーロッパの中ではかなり低い。国境を接するのは、欧州で最悪の被害を受けているスペインだ。距離的にも文化的にも近しい両国で何が明暗を分ける原因となったのだろうか。
一方、18日に米ホワイトハウスより「死亡率が世界一高い国」と名指しされたベルギーは、介護施設での原因不明の死亡なども件数に含めるなど他国とは異なるアプローチをとっているため、このような比較は公平ではないと抗議している。
早期アクションには与野党間合意が必須
ポルトガルの人口はスペインの約4分の1だ。スペインの感染者数は世界で2番目、ヨーロッパで最多の22万6千人以上(27日現在)だが、ポルトガルは2万3千人ほどでその10%、さらに死者数になるとスペインの2万3千人に対して903人で約4%にすぎない。
ポルトガルはヨーロッパで最も遅く新型コロナ感染者が確認された国だ。1月31日に確認されたスペインより1か月以上あとの3月2日のことだった。ポルトガルでは発見の12日後に早くも学校閉鎖、14日後に緊急事態宣言が出されている。その時点での感染者数は100人強。スペインがロックダウンに踏み切ったのはポルトガルとほぼ同時期だったが、すでに5,000人以上の感染者と133人の死者が出ていた。
ポルトガルの知識人たちは、政府の迅速な決断と行動による早期ロックダウンにより、被害が最小限に抑えられたと考えている。また、ポルトガルの最有力紙の1つ、パブリコのディレクターであるマニュエル・カバロ氏は「その種の『共同体精神』的な反応を得るには、各政党、政府、大統領間の意見の一致が非常に重要である」とアルジャジーラに語っている。
現在、ポルトガルではアントニオ・コスタ首相率いる中道左派の社会党が与党である。野党第一党の社会民主党党首ルイ・リオは「政府を困らせるためだけに国を困らせるようなことはしない」と語っている。
これは、スペインの状況と対照的だ。スペインでは、国民の87%が野党は与党批判をやめるべきだと考えているにもかかわらず、与野党間の溝は深まるばかりだ。野党第一党の中道右派の国民党は、左派の社会労働党とポデモスの連立政権に対し批判を繰り返している。