最新記事

韓国

韓国の「社会的距離の確保」規制は、意外と緩かった......

2020年4月24日(金)17時40分
佐々木和義

ソウル鐘路区のガラクタ市にて  4月18日 撮影:佐々木和義

<韓国では、新型コロナウイルスの拡散を防ぐため実施している「社会的距離の確保」を5月5日まで延長し、一部制限を緩和する方針を発表した......>

韓国政府は4月19日に開催した中央災難安全対策本部の会議で、新型コロナウイルスの拡散を防ぐため実施している「社会的距離の確保」を5月5日まで延長し、一部制限を緩和する方針を発表した。同日は「社会的距離の確保」が満了する期限だった。

ソウル大学保健大学院が主催したアンケートで、65%が日常生活を再開すると感染リスクが拡大すると答える一方、公園やオフィス街の飲食店が賑わうなど「社会的距離の確保」が崩れている。

国や自治体の各機関に在宅勤務を義務付け、民間に要請

これまでの韓国政府のロックダウンさせない外出自粛要請の対応を振り返ってみると、2020年3月22日、同日から4月5日までの2週間を「社会的距離の確保」を強化する期間と定めて不要不急の外出自粛を呼びかけた。

国や自治体の各機関に在宅勤務を義務付け、民間企業にも時間差出勤や在宅勤務を要請した。宗教施設の活動を禁止し、図書館や博物館などの公共施設は休館、また遊興施設や学習塾などに休業を求め、会食等の会合は自粛を要請した。止むを得ず外出する際にはマスクを着用し、2メートルの間隔を取るよう呼びかけた。

小売店や飲食店の利用が激減し、オンラインショッピングモールの売上が急増する。韓国コンビニエンスストア大手のCUは、一部店舗で午前11時から午後11時まで行なっていた配達サービスを24時間に拡大した。3月の1日当たり平均利用件数が新型コロナウイルス発生前と比べて73.2%増加し、特に午後8時から11時の利用が34%を占めるようになったのだ。50店舗で試験運用を行った後、順次店舗を拡大する計画だ。

スマートフォンアプリを利用する出前サービスも取引額が20%近く増加している。注文が殺到して対応が難しくなり、マーケティングを中断するショッピングモールも現れた。

花見客で溢れ、登山やウォーキング、ゴルフ用品は好況

政府が「社会的距離の確保」を強化する期間を4月19日まで2週間延長すると発表した4月4日頃から外出する人が増え始めた。

ソウル市は4月1日から開催を予定していた桜祭りを中止して、桜の名所として知られる汝矣島(ヨイド)の輪中路(ユンジュンノ)の通行を禁止したが、隣接する汝矣島漢江公園をはじめ、規制がない桜の名所が花見客で溢れかえった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ウクライナ戦争志願兵の借金免除、プーチン大統領が法

ワールド

NATO事務総長がトランプ氏と会談、安全保障問題を

ビジネス

FRBが5月に金融政策枠組み見直し インフレ目標は

ビジネス

EUと中国、EV関税巡り合意近いと欧州議会有力議員
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 2
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではなく「タイミング」である可能性【最新研究】
  • 3
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたまま飛行機が離陸体勢に...窓から女性が撮影した映像にネット震撼
  • 4
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 5
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳か…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    クルスク州のロシア軍司令部をウクライナがミサイル…
  • 9
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 10
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 4
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 10
    2人きりの部屋で「あそこに怖い男の子がいる」と訴え…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 6
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 7
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 8
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中