最新記事

新型コロナウイルス

新型コロナ、感染者密度で見えてくる本当の危険度

2020年4月22日(水)14時30分
舞田敏彦(教育社会学者)

新宿の繁華街で外出自粛を呼び掛ける東京都の職員(14日) Issei Kato-REUTERS

<感染者の各地域別の存在密度を算出すると、新型コロナウイルスの感染が身近に迫った現状を可視化できる>

新型コロナウイルス感染者の増加が止まらない。4月20日時点の国内の感染者は1万608人で、都道府県別の上位3位は東京3095人、大阪1212人、神奈川784人となっている(厚労省)。

感染者が多いのは都市部の都道府県だが、人口量が多いので当然とも言える。統計分析家の本川裕氏は、人口当たりの感染者数を都道府県別に計算し、東京より福井のほうが比率が高いことを明らかにしている(「新型コロナ感染率ワースト1位は東京ではなく、福井だった」プレジデント・オンライン、2020年3月6日)。病院が少ないことを考えると、地方への避難は必ずしも合理的ではないということだ。

人口当たりの出現率もいいが、怖いのは感染者との接触なので、面積を考慮した感染者の存在密度にするとどうだろう。神奈川県の感染者は784人で、本県の可住面積は1471平方キロだ。後者を前者で割ると、1.9平方キロ(1.4キロ四方)の土地に1人の感染者がいることになる。自転車で動き回る生活圏内に感染者がいるとみていい。

この指標を都道府県別に出し、危険度が高い順に並べると<表1>のようになる。可住面積を感染者数で割った値の平方根だ。

data200422-chart01.png

鹿児島では20キロ四方に1人だが、東京では0.7キロ(700メートル)四方に1人となっている。後者では、徒歩圏内に感染者がいる計算だ。感染者は病院やホテル等に隔離されているが、軽症の人は自宅療養になっているし、まだ発覚していない潜伏感染者の存在も考慮すると、現実の危険度を表しているとみていいだろう。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ウクライナ、鉱物資源協定まだ署名せず トランプ氏「

ビジネス

中国人民銀総裁、米の「関税の乱用」を批判 世界金融

ワールド

米医薬品関税で年間510億ドルのコスト増、業界団体

ワールド

英米財務相が会談、「両国の国益にかなう」貿易協定の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 3
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは?【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 7
    ビザ取消1300人超──アメリカで留学生の「粛清」進む
  • 8
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 9
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 10
    ロケット弾直撃で次々に爆発、ロシア軍ヘリ4機が「破…
  • 1
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中