中国、新型コロナショックで試される労働者のセーフティネット
新型コロナウイルスの大流行により、中国ではさらに何百万人もの人々が職を失い、多くの人々がセーフティネットなしに取り残され、国の失業手当にアクセスできくなる──。複数のエコノミストがこうした見通しを示している。写真は8日の北京の金融街の様子(2020年 ロイター/Tingshu Wang)
新型コロナウイルスの大流行により、中国ではさらに何百万人もの人々が職を失い、多くの人々がセーフティネットなしに取り残され、国の失業手当にアクセスできくなる──。複数のエコノミストがこうした見通しを示している。
アナリストらは、業務再開の停滞と世界的な需要の落ち込みによって、今年は3000万人近い雇用が失われると予想。これは2008─09年の金融危機時における2000万人強のレイオフを上回る規模だ。
中国当局は金融危機が発生してからの10年で失業保険申請プログラムを強化。最新のデータによると、雇用主と労働者の双方が拠出する基金の規模は5817億元(823億7000万ドル)と3倍になっている。
しかし、何百万人もの労働者が失業保険制度に加入していないか、拠出していないため、レイオフされた場合の補償については雇用主に依存せざるを得ない。職を失えば、多くが貯金に頼るか、親族に頼ることになりそうだ。
人事社会保障省によると、今年1─2月に失業保険を受け取った人の数は約229万人。エコノミスト・インテリジェンス・ユニットのダン・ワン氏によると、同時期に推定500万人が職を失ったという。
同氏によると、今年さらに2200万人が失業する可能性があるが、失業手当の受給資格がありそうなのは半数にとどまる見通しだ。
中国国務院(内閣に相当)にコメントを求めたが、回答は得られなかった。
4月にネイルサロンの仕事をレイオフされた19歳の女性、シュエさんは「北京のような都市は家賃が高く、私には収入がない」と語る。しかし、勤務期間が長くないため、失業保険を申請することはできないという。
失業保険の加入者は、10年間拠出した場合、最大2年間にわたって給付を毎月受け取ることができる。拠出期間が短いほど、給付期間が短くなる仕組みだ。
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