英米メディアが絶賛、ニュージーランドが新型コロナウイルスを抑え込んでいる理由とは
テレビ・メッセージでアーダーン首相は、「厳しく、迅速に」措置を取ると同国の戦略を説明。しかし同時に同首相は終始笑顔で語りかけ、メッセージの最後には「どうか、強くいてください。思いやりをもってください。そしてみんなで一つになってCOVID-19に対抗しましょう」と国民に訴えた。
米CNNは、オークランド大学のスージー・ワイルズ准教授の談話を紹介した。英国出身の同准教授は、ボリス・ジョンソン英首相が国民に対し「愛する人を失うことになる家族が今後増えるだろう」と発言したことに触れ、アーダーン首相の場合、経済だけでなく人命も大切にしていることがはっきりと伝わってきた、とCNNに話したという。
アーダーン首相はこれまで、新型コロナウイルスに対する政府の戦略について、声明文、記者会見、インタビュー、SNSなどを通じて国民に説明し、理解を求めてきた。英インディペンデント紙によると、その際には一貫して、はっきりと分かりやすいシンプルな言葉を使い、常に落ち着いて信頼感を保ちつつ、フレンドリーな伝え方をしてきたという。
インディペンデント紙は同首相のこうした手法を、「危機時におけるコミュニケーションのお手本」だと評価する。同紙はまた、新型コロナウイルスへの対応により、アーダーン首相の支持率が非常に高いことにも触れている。
ロックダウン解除後も長い闘いを予測
ニュージーランドでは、3月24日に緊急事態宣言が発令され、翌25日に警戒レベルが最も高い「レベル4」に引き上げられた。これを受け、25日に4週間の「ロックダウン」に入っており、4月22日まで外出制限は続く見通しだ。
こうした成果もあってか、4月9日の時点では、新たな感染者数が5日連続で減少。回復した人の数も新感染者数を上回っていた。この時点では死亡者数も1人だった。アーダーン首相は同日の記者会見で、ロックダウンを緩める予定はないとしながらも、「危機は脱しつつある」と述べた。
ところがその後4人が亡くなり(13日時点)、新たな感染者数も増減を繰り返している。そのため、まだ予断を許さない状態ではある。しかしこのまま、感染者数が増加傾向に再び転じなければ、4月22日には予定通り警戒レベルが3に戻され、ロックダウンが解除されると見られている。
ニュージーランド国営ラジオRNZによると、ロックダウン後の生活については、数日のうちに概要が発表されるとみられているが、詳細は22日の直前になる見通しだ。アーダーン首相は、コロナウイルスとの闘いを「マラソン」と表現し、長くなるとの考えを示しているという。