韓国、選挙でもドライブスルーやフェイスシールド 新型コロナウイルスと闘いつつの国会議員選挙
新型コロナウイルスの影響で有権者との接触が難しい選挙運動を強いられている候補者 연합뉴스TV / YouTube
<外出自粛や社会的距離が求められるなか、総選挙に突入する国の騒動は......>
今月15日は韓国の「第21代総選挙」の投票日だ。300議席をめぐって争われるこの選挙は、文在寅大統領の中間評価という位置づけでもあり注目されている。10日からは期日前の事前投票が開始された。
昨年末まで日本でも大きく報道されていた曺国(チョ・グク)前法相をめぐる問題などの影響で、文在寅大統領の支持率が低迷していたが、今年に入りコロナ対策での与党の評価は上がっている。そんななか、2月中旬には、韓国の最大野党である自由韓国党を含む保守派3党が結集した新党「未来統合党」が発足し、若者の雇用問題など文在寅政権の弱点を訴えつつ、若者層にどれだけアピールできるかが注目されている。
それというのも、昨年末12月27日の選挙法改正により、韓国でも満18歳から投票権をもつようになった。今回は方改正後初めての総選挙となるため、今回の候補者たちの選挙活動キーワードは「若者に響く」そして、「コロナ対策」だと言えるだろう。
もともとユニークなパフォーマンスが多い韓国の選挙活動は有名である。エコアピールのために徒歩や自転車での移動というのは当たり前。街頭演説では歌や踊り、流行りの曲の替え歌なども定番化している。最近では多くの候補者がユーチューブチャンネル開設も行っており、公約アピールだけではなくプライベートな姿も動画で公開して、親近感を得るのに役立てている。
今回は、そんな日本では思いも付かないユニークな韓国の選挙活動を見てみよう。
公約実現後を演じる候補、人気ドラマの主人公をパクる保守系大物......
釜山の候補者ジョン・グン氏は、自ら公約に掲げた「地下鉄開通」をアピールするため、架空の駅起工式を行っている。3月8日から11日まで、地下鉄が通っておらず建設を希望する商業地区などで4回にわたって「希望の起工式」というパフォーマンスを行って注目を浴びた。
若者層票を取り込みたい候補者は、トレンドを意識した作戦に乗り出している。大邱から出馬した候補者で元自由韓国党代表の保守系大物政治家ホン・ジュンピョ氏は、WEBコミックからドラマ化されネットフリックスで世界配信もされているJTBCの大ヒットドラマ『梨泰院クラス』の人気にあやかり、自身を主人公に例えたポスターを発表し話題となった。
主人公パク・"セロイ"に准えた、ホン・"セロイ"という名前と、主人公キャラクターと自分との共通点を書き出したポスターは、SNSにアップされたとたん注目を集めたが、なんと原作者に使用許可を取っておらず、著作権者である原作漫画家チョ・グァンジン氏は7日、インスタグラムに「『梨泰院クラス』がどのような政治の影響も受けないことを望んでいます」と、無断使用について拒否感を表したコメントをアップした。
その後、パロディーポスターはSNSから削除されているが、ニュースなどでこの一連の騒動が報道されたため、悪目立ちとなったものの結果的に若者層に候補者の名前が浸透することとなった。