韓国、選挙でもドライブスルーやフェイスシールド 新型コロナウイルスと闘いつつの国会議員選挙
SNSでシェアされる話題を作れ!
若者層攻略と名前の拡散には、SNSの有効利用が鍵となる。若者が思わずスマートフォンで写真を撮って自分のSNSにアップしたくなるようなアピール方法を実行する候補者が増えている。
仁川西区の候補者イ・ヘンスク氏は、今月2日ジャンヌ・ダルクを彷彿とさせるような甲冑姿で馬に乗って道路に現れた。騎馬行進をしながら沿道の有権者らに手を振る姿は、この日多くの人たちがSNSにアップしている。
また、子供たちの人気者ティラノサウルス軍団を引き連れて街頭演説に現れたのは全羅南道麗水市の候補者のイ・ヨンジュ氏だ。恐竜は公約に全く無関係だが、イ氏の名前に龍の漢字が入っているため、この作戦を思いついたのだと言う。その他にも、光州候補者イム・ジョンソン氏は、となりのトトロの猫バスならぬ、かわいい犬乗用車で選挙活動を実施し、どこに行っても注目の的だ。
最先端のハイテク技術を取り入れた候補者もいる。京畿道鳥山市の候補者アン・ミンソク氏は、ARと呼ばれる拡張現実を組み合わせた選挙活動を行い話題だ。事前にダウンロードしたアプリを開き、アン候補者の広報パンフレットのページをスマホ越しに見ると、アン氏本人が飛び出して公約を説明してくれるような映像が見られる。今の若者層には、選挙カーからマイクで名前を連呼されるよりも、スマートフォンを通じたアピールの方が親しみがわくのかもしれない。
コロナの感染予防しながらの選挙運動
今回の選挙活動で多くの候補者の頭を悩ませているのがコロナ拡散防止策だ。お辞儀社会の日本とは違い、韓国は握手社会だが、有権者との挨拶に握手することは規制されている。手を握り合わずに挨拶するグータッチや肘を合わせる候補者も多く見かけられた。
また、名前と顔を一致させることも票を得る大事な要素だが、感染予防でマスクを着用しているため、顔の半分は隠れたままだ。そこで、顔全体が見えるようにフェイスシールドと呼ばれる透明なプラスティックで顔全体をガードする医療用具を使用する候補者や、あえて目立つような原色のマスクに、名前を大きく印刷したものを付ける候補者など逆境を工夫し乗り切っているようだ。
一方では、コロナの対策活動に積極的に参加する姿をアピールしている候補者も多い。
感染検査で韓国のドライブスルー方式が世界的に話題になったが、選挙運動でもドライブスルー方式を使う候補者も登場した。慶尚南道の候補者ソ・ピルサン氏は、一般的に30分から1時間同じ場所に留まって行われる街頭演説を、2、3分止まって車内から行うドライブスルー街頭演説方式を実践している。
また、ソウル市の候補者ソン・ハンソプ氏は、医者の経歴を活用しコロナの医療ボランティアに参加した。この活動を有権者にアピールするためSNSにアップされた映像には、防護服に着替えるところから、積極的に医療奉仕活動するソン氏の姿が映っている。
公約や政策に少しでも耳を傾けてもらうためにも、インパクトのある選挙活動は有効かもしれない。しかし、この選挙はパフォーマーのオーディションをしているわけではない。一番大事なのは、当選後国民のためにしっかりと仕事をしてくれる議員を選ぶことだ。候補者も有権者もそのことをしっかりと忘れずにいて欲しい。
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