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トランプのブゥードゥーコロナ対策が米医療を引っ掻き回す悲劇

Coronavirus: Trump Questions New York's Need For 300,000 Masks, Accuses Hospitals Of Hoarding Ventilators

2020年4月6日(月)17時45分
アーサー・ビラサンタ

クオモは1か月ほど前、州内の病院から医療物資が盗まれたことを明らかにした。それが意図に反してトランプに攻撃材料を与えてしまったのかもしれない。

「数台が持ち去られたというレベルではなく、医療物資が実際に盗まれているという話だ」と、クオモは3月6日に記者会見で明らかにした。「私は州警察に捜査を依頼した。マスクや医療機器、防護服が品薄になっていることから、不安が高まっている」

医療物資の買いだめや需要増に関するトランプの疑問について、定例会見でコメントを求められたクオモは「何を言おうとしているのか、理解できない。非難したければすればいい」と一蹴した。

トランプはこの件以外にも、州政府が要求している数万台の人工呼吸器を手配するより、潜在的な治療薬と期待されている抗マラリア薬ヒドロキシクロロキンと抗生物質アジスロマイシンの混合薬を試す方がいいと言っている。この薬は、未だ臨床試験の段階で、有望だが深刻な副作用もありうると言われている。

さらに4月5日の記者会見でトランプは、連邦政府がすでにヒドロキシクロロキン2900万錠を買ったことを発表した。「効かないかもしれないが、効くかもしれない」「安いものだ。何も失うことはない」

トランプ政権のコロナ対策チームのアドバイザーで国立 アレルギー・感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ所長は、「ヒドロキシクロロキンが新型コロナ感染症に効く可能性は低い」と言ったことがある。記者がファウチを名指しでそのことを聞こうとすると、トランプが遮って答えを言わせなかった。「その件には何度も答えた」と言うのだ。

国家的な危機の中で、トランプの不規則発言はますます勢いを増しているようだ。ただ今回は、多くのアメリカの一般市民の命がかかっている。

(翻訳:栗原紀子)

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