最新記事

感染症対策

国連「アフリカ、新型コロナウイルスで30万人死亡・2900万人が極度貧困の恐れ」

2020年4月18日(土)07時29分

国連アフリカ経済委員会(UNECA)は、アフリカで新型コロナウイルス感染により少なくとも30万人が死亡し、2900万人が極度の貧困に陥る恐れがあるとして、1000億ドルの支援を呼び掛けた。写真は南アフリカで16日撮影(2020年 ロイター/Rogan Ward)

国連アフリカ経済委員会(UNECA)は17日、アフリカで新型コロナウイルス感染により少なくとも30万人が死亡し、2900万人が極度の貧困に陥る恐れがあるとして、1000億ドルの支援を呼び掛けた。

アフリカ地域54カ国でこれまでに確認された新型ウイルス感染者数は2万人以下と、比較的抑制されている。ただ世界保健機関(WHO)は16日、アフリカ地域の新型ウイルス感染者数は向こう3─6カ月で1000万人に膨れ上がる恐れがあると警告した。

UNECAは報告書で、アフリカ各国政府が打ち出す感染拡大抑制に向けた措置について4段階のシナリオを想定。何も対策が講じられなかった場合、人口約13億人のアフリカ地域で、年内に12億人以上が感染、感染により330万人が死亡すると予想。各国が厳しい感染拡大抑制策を実施する最善のシナリオの下でも、1億2280万人が感染、230万人が入院、30万人が死亡するとした。

また、アフリカでは人口1000人(訂正)当たりの病床数が1.8床と少ないことも対応が難しくなる要因の1つとして挙げた。人口1000人(訂正)当たりの病床数は、例えばフランスでは5.98床となっている。

ただアフリカでは人口の約60%が25歳以下と、若年層が多いことはプラスになるとした。

新型ウイルス感染拡大でアフリカ経済は最大で2.6%のマイナス成長に陥る恐れがある中、UNECAは感染拡大により、500万─2900万人が1日1.90ドル未満で生活する最貧困層に陥る可能性があるとしている。

国連のグテレス事務総長はこの日、世界銀行と国際通貨基金(IMF)が開催したテレビ会議方式の会合で、アフリカ諸国は新型ウイルス感染拡大に対応するために2000億ドルを超える資金が必要になると指摘。世界の債権国に対し、最貧国だけでなくすべての途上国に債務の一時支払い停止を認めるよう呼び掛けた。

*4段落目の「1人」を「1000人」に訂正しました。

[ヨハネスブルク/ワシントン ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【関連記事】
・新型コロナウイルス、モノの表面にはどのくらい残り続ける?
・中国・武漢市、新型コロナウイルス死者数を大幅修正 50%増の3869人へ
・イタリア、新型コロナウイルス新規感染者は鈍化 死者なお高水準
・新型コロナウイルスをめぐる各国の最新状況まとめ(17日現在)


20200421issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年4月21日号(4月14日発売)は「日本人が知らない 休み方・休ませ方」特集。働き方改革は失敗だった? コロナ禍の在宅勤務が突き付ける課題。なぜ日本は休めない病なのか――。ほか「欧州封鎖解除は時期尚早」など新型コロナ関連記事も多数掲載。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエル首相がハンガリー訪問へ、ICC逮捕状無視

ビジネス

日米、過度な為替変動が経済に悪影響与え得るとの認識

ワールド

ミャンマーの少数民族武装勢力、国軍が大地震後も空爆

ワールド

トランプ政権、米政府と契約の仏企業に多様性プログラ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 4
    「炊き出し」現場ルポ 集まったのはホームレス、生…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 9
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 10
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 7
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 8
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中