サプライチェーン中国依存の危うさを世界は認識せよ
A MADE-IN-CHINA PANDEMIC
問題は、中国が戦略上の目的で輸出を制限する可能性があることだけではない。今回は、中国での新型コロナウイルス感染症拡大により、意図せずして世界のサプライチェーンが大混乱を来している。中国は好むと好まざるとにかかわらず、生産と輸出を普段どおりに行えなくなり、APIの供給が逼迫し始めている。
その影響で、世界最大のジェネリック薬品生産国であるインドは既に、広く用いられている医薬品の輸出を減らさざるを得なくなっている。APIの70%を中国に頼っているからだ。中国の生産体制が早期に元に戻らなければ、世界は深刻な医薬品不足に見舞われる可能性が高い。
新型コロナウイルスをきっかけに、各国の政治家やビジネスリーダーは、中国にサプライチェーンを牛耳らせておくことのリスクに気付くべきだ。コスト抑制のために中国へのアウトソーシングを続ける限り、世界は中国の強権的な政治体制がもたらすリスクにさらされ続ける。
<本誌2020年3月31日号掲載>
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