新型コロナウイルスで明暗別れる日本の外食業 客層や立地が客足に影響
夜間帯メインの業態が苦戦
日本フードサービス協会が25日発表した外食産業データによると、2月の外食全体の売上高は前年同月比4.8%増。このうちファーストフード業態が同9.8%増、ファミリーレストラン業態が同2.0%増だったのに対し、「パブ・ビアホール」が同9.6%減、「居酒屋」は同4.8%減、ディナーレストラン業態は同2.6%減だった。
同協会は「飲酒業態は立地や客層により新型コロナの影響に差があり、若年層やプライベート需要の多い店では影響が比較的少なかった一方、観光地立地や法人の宴会需要が多い店は月後半を中心に大きな打撃を受けた」と指摘する。
今年の2月は閏年で日数自体が1日多かった。天皇誕生日で祝日が増えたことや、土曜日が1日多い曜日周りだったことなど特殊要因もあった。それを差し引いても夜間帯メインの業態での苦戦を示すデータが出てきたことで、市場では「居酒屋系の3月月次は相当厳しい数字が出てきそうだ」(立花証券・国際法人部課長、栗原一朗氏)との見方が多い。
コロナの影響、長引く可能性も
4月が近づき、長期にわたる自粛に対する「疲れ」や、危機感や実感の希薄化が出ていた部分もあり、「いつも混雑していて予約が取れない飲食店を友人や同僚などと来店している」といった声も出始めていた。
ただ、東京オリンピックの開催延期が決定。その後、東京都で新型コロナ感染症の増加ペースが加速し、小池百合子都知事が週末の不要不急の外出を自粛するよう都民に要請する事態となっている。
市場からは「新型コロナが終息すれば短期的に回復するだろうが、長い目で見れば、戻り切れないリスクもある。これを機に働き方改革を進める方向になるだろう。テレワークが推進され、同僚との飲食や接待の必要性が見直される可能性がある」(SMBC日興証券の日本担当シニアエコノミスト、宮前耕也氏)との声も出ている。
コロナの影響が長引けば、これまでとは違う外食産業の姿が広がるかもしれない。
(編集:石田仁志)
[東京 ロイター]
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