最新記事

新型コロナウイルス

東京五輪組織委、通常開催の代替策を検討 延期判断に備え

2020年3月22日(日)19時24分

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で今夏に予定している東京オリンピック・パラリンピックの通常開催が危ぶまれる中、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(五輪組織委)が通常開催できない場合に備えて代替案の策定を進めていることがわかった。写真は3月11日、東京で撮影(2020年 ロイター/Issei Kato)

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で今夏に予定している東京オリンピック・パラリンピックの通常開催が危ぶまれる中、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(五輪組織委)が通常開催できない場合に備えて代替案の策定を進めていることがわかった。組織委内の議論に詳しい関係者2人が明らかにした。

開催に最終的な決定権を持つ国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長は現時点では通常開催する方針を変えてはいないが、米紙とのインタビューで、開催延期を判断するのは時期尚早とした上で「もちろん異なるシナリオも検討している」と述べている。IOCでは通常開催について、3月下旬にあらためて議論する見通しだ。

ロイターの取材によると、組織委では3月に入って、通常開催できない場合に備えた代替案の検討に着手。同関係者の1人はロイターに対し「(組織委で)延期する場合のシミュレーション、費用の試算がすでに始まっている」とし、別の関係者は「1年か2年の延期について水面下で話し合っている」と語った。組織委では延期の期間だけでなく、大会の規模縮小や無観客での開催など、実施方法についても選択肢を検討しているという。

東京五輪をめぐっては、安倍晋三首相が16日の主要7カ国首脳とのテレビ電話会議で「完全な形」での開催を目指す方針を表明。菅義偉官房長官は18日の衆議院内閣委員会で「延期とかそういう調整は全く行っていない」と述べ、予定通りの開催に向け準備を進める考えを改めて示した。

ただ、世界各国が新型コロナの猛威にさらされる中、すでに多くの世界的なスポーツイベントが延期や中止を余儀なくされている。トップアスリートらやノルウェー・オリンピック委員会、米国水泳連盟など海外のスポーツ団体なども選手の健康が危ぶまれるとしてIOCに東京五輪の延期を要請している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ関税巡り希望持てず=訪米後に仏大統領

ワールド

英語を米国の公用語に、トランプ氏が大統領令を計画=

ビジネス

米PCE価格、1月+2.5%にやや減速 個人消費は

ビジネス

独CPI、2月速報はEU基準で+2.8% 前月と変
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:破壊王マスク
特集:破壊王マスク
2025年3月 4日号(2/26発売)

「政府効率化省」トップとして米政府機関に大ナタ。イーロン・マスクは救世主か、破壊神か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    イーロン・マスクへの反発から、DOGEで働く匿名の天才技術者たちの身元を暴露する「Doxxing」が始まった
  • 3
    イーロン・マスクのDOGEからグーグルやアマゾン出身のテック人材が流出、連名で抗議の辞職
  • 4
    「絶対に太る!」7つの食事習慣、 なぜダイエットに…
  • 5
    米ロ連携の「ゼレンスキーおろし」をウクライナ議会…
  • 6
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チー…
  • 7
    日本の大学「中国人急増」の、日本人が知らない深刻…
  • 8
    ボブ・ディランは不潔で嫌な奴、シャラメの演技は笑…
  • 9
    【クイズ】アメリカで2番目に「人口が多い」都市はど…
  • 10
    「売れる車がない」日産は鴻海の傘下に? ホンダも今…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チームが発表【最新研究】
  • 3
    障がいで歩けない子犬が、補助具で「初めて歩く」映像...嬉しそうな姿に感動する人が続出
  • 4
    富裕層を知り尽くした辞めゴールドマンが「避けたほ…
  • 5
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 6
    イーロン・マスクのDOGEからグーグルやアマゾン出身…
  • 7
    イーロン・マスクへの反発から、DOGEで働く匿名の天…
  • 8
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 9
    「絶対に太る!」7つの食事習慣、 なぜダイエットに…
  • 10
    東京の男子高校生と地方の女子の間のとてつもない教…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 5
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 6
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 7
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 8
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 9
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 10
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中