最新記事

感染症対策

取り残されたセブ島の日本人 新型コロナウイルスで封鎖のフィリピンから臨時便が日本へ

2020年3月20日(金)21時45分
大塚智彦(PanAsiaNews)

Romeo Ranoco - REUTERS

<フィリピンの観光地セブ島に取り残された日本人留学生や観光客の脱出問題が浮上。急きょ民間による臨時便が20日セブから成田空港に向かって出発した>

フィリピン中部のセブ島はビーチリゾートの観光地であり、またマニラ首都圏などに比べると治安が格段にいいこと、生活費なども安いことから英会話学校で英語を学ぶ外国人が近年増加している。そして中国人、韓国人などに交じって若者を中心とした日本人も約70校という現地英語学習に通っていた。

ところが今回の新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、フィリピン政府は中国人、韓国人の入国制限、帰国勧奨を実施。このため中国人や韓国人の留学生は早い時期にそれぞれ本国に帰国した。

しかし、多くの日本人留学生は留まって勉強を続けていたところ、フィリピン政府が3月13日に語学学校などの休校も指示、全校が一斉に授業を中断して休校となってしまった。

困ったのは日本人留学生たちである。語学学校の中には学校の施設や寮を開放して留学生に便宜を図っているところもあるが、宿泊先や生活の面で不自由になり、多くの日本人留学生は日本への帰国を検討するようになった。

だがすでにフィリピンは国際線、国内線とも航空便は大幅な減便、運航停止などで簡単に日本に戻れる状況ではなくなっていた。

約1000人が足止め状態に

セブは島であるため陸路での「脱出」はできず、海路で島を出る旅客船も運航を停止しているため、「陸の孤島」となり完全に取り残されてしまった。

現地セブ日本人会やセブ島にいるフィリピン在住日本人などからの情報を総合すると、20日までに確認できた残留日本人留学生は約1000人。また学校とは直接関係のない観光客などの日本人が約200人残されていて、その大半が日本への帰国を希望しているという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

大手IT企業のデジタル決済サービス監督へ、米当局が

ビジネス

日産、米国従業員の6%が早期退職に応募 12月末付

ワールド

ウクライナ和平案、ロシアは現実的なものなら検討=外

ワールド

ポーランドの新米基地、核の危険性高める=ロシア外務
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 2
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 3
    「ワークライフバランス不要論」で炎上...若手起業家、9時〜23時勤務を当然と語り批判殺到
  • 4
    習近平を側近がカメラから守った瞬間──英スターマー…
  • 5
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    若者を追い込む少子化社会、日本・韓国で強まる閉塞感
  • 8
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 9
    クリミアでロシア黒海艦隊の司令官が「爆殺」、運転…
  • 10
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国」...写真を発見した孫が「衝撃を受けた」理由とは?
  • 4
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 5
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 6
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
  • 7
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 8
    建物に突き刺さり大爆発...「ロシア軍の自爆型ドロー…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶり…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中