イタリアが「欧州の武漢」に なぜ感染は急速に広がったのか
「患者ゼロ号」は誰なのか?
同病院の看護師は27日、ロイターに対し、同氏が来院する何日も前から新型ウイルス肺炎は広まっていたのではないかと思う、と語った。
この看護師は匿名で「最初の症例が確認される少なくとも1週間前から、肺炎の症例が異常に増えていた。こうした患者は治療を受けて帰宅している」と語った。
同氏がウイルス陽性だったというニュースが報じられてから数時間は、混乱を極めていたと彼は言う。
「当初、病院経営陣は我々を30時間院内に留め置いた。それから自宅に戻って自己隔離に入るよう命じられた。そして結局、勤務に戻るよう言ってきた」と言う。「結果的に、コドニョ病院では患者よりも医療従事者の感染の方が増えてしまった」
病院も、地元の保健サービスを監督するロンバルディア州当局も、こうした状況を認めている。ロンバルディア州当局は、イタリア政府が1月末の時点で新型ウイルス感染が疑われる患者に対する検査ガイドラインを変更したという。新たなルールでは、検体を採取しなければならないのは、中国との関連のある患者に限定されていた。だが、同氏はこの条件に該当しなかった。
コンテ首相の不満に促されて、検察当局はコドニョ病院が従った手続についての捜査を開始した。だが、何らかの結論が出るには何週間もかかる可能性がある。
イタリアの富裕な北部に誰が新型ウイルス肺炎を持ち込んだのかは誰にも分からない。科学者らは当初、最近中国からの出張から戻ってきた同氏の同僚が自覚なき「患者ゼロ号」ではないかと考えた。だが、この同僚の検査は陰性であり、他にはこれといった候補が残っていない。
マリノ・ファッチーニ博士率いるミラノの専門家チームが、感染拡大の出発点を突き止める任務を与えられている。だが、数日間にわたって想定しうる感染経路を追跡したものの、成果は得られなかった。
「現時点では感染拡大の抑制に努めており、患者ゼロ号を探すことにはあまり力を入れていない。患者ゼロ号が感染したのはかなり前であり、突き止めるのは困難だ」とファッチーニ氏はロイターに語った。
(翻訳:エァクレーレン)
[ミラノ ロイター]
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