中国の巨大タンカー84隻が一斉にペルシャ湾めざす
しかしロシア最大手の国営石油会社ロスネフチのセチン社長は、「減産は間違いで、OPECとの協調はロシアに益をもたらさない」との考えを持っており、特に「アメリカが今や世界一の原油生産国(1日糧1500万バレル)となってしまったのはOPECの無能によるもので、アメリカの原油生産増加を叩かねばならない」と主張しています。セチン社長は大統領側近で、最も信頼されている忠義無類の部下とみなしていいでしょうから、プーチン大統領はセチン社長の主張に耳を傾けたものと判断されます。
その意味で、これは極めて政治色の濃い方針です。本件に限りませんが、ロシアは伝統的に政治的利益が経済的利益より優先されるので、国力の割には豊かにならない構造があるように見えます。
サウジとの石油戦争も、ロシアは油価によって為替レートを動かせるので、貿易収支は決して赤字にはならず、ロスネフチも現地通貨建ての収入は減るどころか増産によって増える可能性もあります(もっとも外貨建てでみれば、大幅な減収となります)。
経済的視点から見ている上記ロシアの民間大手(LUKOIL)は、「外貨収入を大幅に減らしてどうするのか、まだ、ロシアは多くの品物を輸入に頼っており、これでインフレは間違いなく起こる。国民の生活も苦しくなる。そもそも国の経済力が毀損する」と言っています。これは正論だと自分には思えるのですが、ロシア政府は「我々は十分な外貨準備も財政の余裕もある。心配はいらない」と国民向けに強がりを言っています。
しかし既に一般国民の所得は上がっていないどころか減少していて、しかもこの新型コロナ騒ぎで、国民の経済面での不安は高まるばかりです。
アメリカの介入
「モスクワの友人」の便りは油価の暴落は経済縮小につながり、それがまた株の暴落など金融にも影響していくことや、日本企業への影響などに関しても書かれており、アメリカが必ず介入してくると書いてあった。
案の定、3月19日、トランプ大統領はサウジアラビアがロシアに仕掛けた価格戦争に介入する可能性を示唆した。ウォールストリート・ジャーナルは「サウジアラビアには減産を求める一方、ロシアには制裁を示唆するだろう」と伝えている。