最新記事

感染症対策

アメリカ、新型コロナウイルス死者3000人突破 ニューヨークはセントラルパークに仮設病院建設

2020年3月31日(火)12時18分

米国で30日、新型コロナウイルスによる死者が3000人を超えた。写真はニューヨークのセントラルパークに設営された仮設病院(2019年 ロイター/Aleksandra Michalska)

米国で30日、新型コロナウイルスによる死者が3000人を超えた。ロイターの集計によると、この日の死者は少なくとも540人。死者は累計3017人、感染者は累計16万3000人以上となっている。米国の感染者数は世界最多。

感染者が特に多いニューヨーク(NY)市の病院には、既に受け入れ上限を超えて患者が殺到しており、これらの病院を支援するため、米海軍の病院船「コンフォート」が30日、マンハッタンに到着した。同船(病床数1000)では、新型コロナ感染者以外の治療に当たり、手術や救急診療も提供するという。

NY市のデブラシオ市長はコンフォート到着を受け、「戦時のような雰囲気の中、全ての人が団結する必要がある」と発言。同船派遣についてトランプ大統領や連邦政府、米軍に感謝の意を示した。

NY中心部のセントラルパークでは29日、仮設病院の建設も始まり、68床のベッドが提供される。デブラシオ市長によると、31日に患者の受け入れを開始するが、予約が必須となる。

NY州のクオモ知事は記者会見で、州政府が介入してNY市内の公園を閉鎖する必要があるかもしれないと指摘。公園に出歩く人々の数を減らす当局の取り組みが効果を出していないからだという。

トランプ大統領は30日、既に100万人以上の米国民が新型コロナの検査を受けたと強調した上で、ウイルス封じ込めに向け、引き続き4月いっぱい社会的距離の指針に従うよう国民に訴えた。 

ただ、100万人という数字は全米人口の3%に満たず、今後検査を受ける人が増えるにつれ、感染が確認されるケースも増える可能性が高い。

一方、ホワイトハウスの新型コロナ対策顧問を務めるデボラ・バークス氏はNBCの番組で、「われわれがほぼ完ぺきに対応すれば、(新型コロナの)死者は10万─20万人の範囲に収まるだろう」と述べた。

米国立アレルギー・感染症研究所のファウチ所長は前日、死者が同水準に達する「可能性」があると述べていたが、バークス氏の発言は、10万─20万人は上限というよりもむしろ下限と示唆した格好となった。

米国では、これまで新型コロナ感染者が急増したワシントン、ニューヨーク、カリフォルニアの各州以外でも感染が拡大しており、同日はメリーランド、バージニア両州の知事と首都ワシントンのバウザー市長が市民に自宅待機を指示した。

*内容を追加します。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【関連記事】
・「コロナ失業」のリスクが最も高い業種は?
・「アメリカの新型コロナウイルス死者、20万人に上る可能性も」国立感染症研究所所長
・中国、感染しても無症状者は統計に反映せず 新型コロナウイルス感染爆発「第2波」の懸念


cover200407-02.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年4月7日号(3月31日発売)は「コロナ危機後の世界経済」特集。パンデミックで激変する世界経済/識者7人が予想するパンデミック後の世界/「医療崩壊」欧州の教訓など。新型コロナウイルス関連記事を多数掲載。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

独ZEW景気期待指数、1月は10.3 予想以上に低

ビジネス

トランプ米政権の政策、銀行は影響を分析 混乱から利

ビジネス

台湾輸出受注、12月20.8%増と3年ぶり伸び率 

ビジネス

ビットコインなど高値から後退、トランプ氏就任初日の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの頭の中
特集:トランプの頭の中
2025年1月28日号(1/21発売)

いよいよ始まる第2次トランプ政権。再任大統領の行動原理と世界観を知る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性客が「気味が悪い」...男性の反撃に「完璧な対処」の声
  • 2
    被害の全容が見通せない、LAの山火事...見渡す限りの焼け野原
  • 3
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 4
    メーガン妃とヘンリー王子の「山火事見物」に大ブー…
  • 5
    本当に残念...『イカゲーム』シーズン2に「出てこな…
  • 6
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 9
    台湾侵攻にうってつけのバージ(艀)建造が露見、「…
  • 10
    身元特定を避け「顔の近くに手榴弾を...」北朝鮮兵士…
  • 1
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性客が「気味が悪い」...男性の反撃に「完璧な対処」の声
  • 2
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 3
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 4
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 5
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 6
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 9
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
  • 10
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中