最新記事

韓国

韓国で集団感染を起こした新興宗教団体は、今最も警戒される教団だった

2020年2月25日(火)17時00分
佐々木和義

韓国・大邱市でマスクを買うために並ぶ人々...... Yonhap via REUTERS

<韓国で新型コロナウイルスの集団感染を起こした新天地教会は既存の教会が現在最も警戒している教団だった......>

韓国中央防疫対策本部は2020年2月21日午後4時から22日午前9時までの間に142人、翌23日午前までに123人、23日には169人の新型コロナウイルス感染者が確認されるなど、3日連続で100人を超える新たな感染が判明、韓国内の感染者は600人余りに達している。

22日朝までに感染が確認された142人中92人は慶尚北道清道の病院と関連し、600余人の感染者のうち329人は新興宗教団体「新天地イエス教会」の関係者である。

韓国政府は22日、南東部の大邱市と慶尚北道清道(チョンド)郡を感染病特別管理地域に指定し、集中的な支援を決定、またソウル市は感染の源泉と目される新天地教会に対し、感染病予防法に関する法律47条に基づく閉鎖措置の実施を発表した。

既存教会が現在最も警戒している教団・新天地教会

慶尚北道清道郡の清道テナム病院で2月19日に同病院で死亡した男性から感染が見つかり、防疫当局が入院患者と医療スタッフを検査した結果、看護士と職員を含む15人の感染が確認され、当局は院内感染が広がっていると断定した。

大邱市では21日までに126人の感染が確認されたが、受け入れ可能な病床が不足し、20時間からなかには50時間、自宅で待機する感染者もいる。同日までに大邱地域の総合病院に設けられた陰圧病床は65床で、利用可能な病床は40床しかなかった。大邱市は大邱医療院等に患者らを入院させる計画だが、入院患者を退院させ、あるいは他病院へ移送する必要がある。

慶尚北道も同様だ。陽性反応が出た感染者は30人近いが、病床が不足し、感染拡大の恐れがある患者が自宅待機を余儀なくされている状況だ。

清道テナム病院の感染源として有力視されているのは新天地イエス教会だ。同教団の教祖イ・マンヒの兄が1月末に亡くなり、同病院で葬儀を行なったが、教団は昨年、中国の武漢に教会を設立しており、武漢教会に往来した信者か、武漢で感染した信者が葬儀に参列したと当局は推察する。

密閉された空間で1時間以上礼拝が行われる教会は感染が広がりやすい。中央防疫対策本部と大邱市は同教会の約9000人の名簿を確保し、症状がみられる信者に診断を行なっている。

新天地教会はかつて統一教会を警戒していた韓国の宗教界、なかでもプロテスタント系やカトリック系など既存教会が現在最も警戒している教団である。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエルがガザ空爆、48時間で120人殺害 パレ

ワールド

大統領への「殺し屋雇った」、フィリピン副大統領発言

ワールド

米農務長官にロリンズ氏、保守系シンクタンク所長

ワールド

COP29、年3000億ドルの途上国支援で合意 不
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたまま飛行機が離陸体勢に...窓から女性が撮影した映像にネット震撼
  • 4
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではな…
  • 5
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 8
    クルスク州のロシア軍司令部をウクライナがミサイル…
  • 9
    「何も見えない」...大雨の日に飛行機を着陸させる「…
  • 10
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 5
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 7
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 8
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中