シン・フェイン「勝利」で見えてきた南北アイルランド統一の現実味
The End of the Irish Political Duopoly
アイルランド総選挙の出口調査の結果によれば、ボーダーポール実施を支持する有権者の割合は57%。だが彼らがそのまま、統一に賛成票を投じるとは限らない。昨年8~9月に北アイルランドで行われた独立系機関の世論調査では、統一賛成派と反対派の割合が互角になった。
一方、北アイルランドの地域政党でイギリスへの帰属維持を訴える民主統一党(DUP)の党首を務める北アイルランド自治政府のアーリーン・フォスター首相は総選挙後、同地で統一支持派政党への支持が低下傾向にあるとのデータをツイート。ボーダーポールの可能性に水を差した。「北アイルランドで過半数を取れる見込みが高いならボーダーポールを実施できる(その権限を持つのはイギリスの担当大臣だけ)」「北アイルランドにそんな状況は存在しない」と、フォスターは記した。
だがDUPは昨年12月の英総選挙で低迷し、重要議席2席と保守党政権に閣外協力するキングメーカーの立場を失った。今や英国議会では、北アイルランド選出の議員のうち、イギリスとの連合維持を主張するユニオニストが統一派を下回るという前代未聞の事態が起きている。
フォスターが言う「存在しない」状況は、少しずつ現実味を増しているようだ。
<本誌2020年2月25日号掲載>
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