中国監視網の実力発揮? ウイルス感染者をチェックできる官製アプリにアクセス1億件!
China's Coronavirus App Uses Mass Surveillance to Track Citizen Infections
高速道路の料金所で通行人の熱を測る係官(1月24日、湖北省武漢) Martin Pollard-REUTERS
<2週間前まで遡って新型コロナウイルス感染者と濃厚接触があったかどうかをチェックできるアプリには、日ごろから政府や衛生当局、交通機関が集めた個人データが全力投入されている>
中国で、自分が新型コロナウイルスの感染者(または感染が疑われる人)と接触したかどうかをチェックできるスマートフォン向けのアプリが登場した。同ウイルスの感染による死者が1100人を突破するなか、衛生当局が開発したものだ。このアプリを使うと「濃厚接触」があったかどうかを検出することが可能で、2月9日に一般に公開されたと、国営メディアの新華社通信は伝える。
ツイッター上に投稿された同ソフトのスクリーンショットを見ると、検索結果を表示した地図の上に赤い丸印がついている。新型コロナウイルスに感染したか、感染した疑いのある人の位置を示したものだ。
香港紙サウスチャイナ・モーニングポストによれば、市民の個人情報を大量に保持し、日ごろから市民を追跡監視していることで知られる中国当局が、同アプリにデータを提供している。運輸省や鉄道サービス、民用航空局(CAA)や国家衛生健康委員会も同様だ。
フリーダム・ハウスは、2月4日に世界自由度指数を発表。この中で中国について100点満点中11点の低い評価をつけ、政府による監視強化を理由に挙げていた。
電話番号やID番号を登録して検索
各国の政治的自由や人権状況について調査しているNGOによれば、中国の自由度指数は100点満点中11点。2月4日の報告書で中国政府による市民生活の微細にわたる監視を批判している。顔認証機能のついた監視カメラが多くの都市部や公共交通機関に装備され、地方にも展開されつつあるほか、「政府は債務返済能力や債務記録だけでなく、人間関係や公共の場での法令順守度に基づいて個人の信用度をスコア化している。警察は市民のスマートフォンから迅速にデータを抽出・スキャンできる機器を使用している」と指摘した。
技術専門誌MITテクノロジー・レビューが指摘するように、この監視ネットワークが収集する大量のデータがなければ、今回のアプリの提供は不可能だった。
この「接触検出アプリ」を使うためには、決済サービスの支付宝(アリペイ)やスマホ用チャットアプリの微信(WeChat)などの人気アプリでQRコードを読み取り、電話番号や氏名、国のID番号を登録する。登録が終わると、自分が過去に新型ウイルスの感染者または感染疑いのある人と「濃厚接触」したかどうかが確認できる。衛生当局は、「濃厚接触」があったと判明した場合は、家から出ずに地元の救急サービスに連絡を入れるよう指導している。