最新記事

中国

新型肺炎以来、なぜ李克強が習近平より目立つのか?

2020年2月10日(月)19時11分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

この時系列を全て書き始めたら2万字以上は超えるので、以下、主要な情報のみをピックアップして時系列的に記す。一部分は前述のコラム<新型コロナウイルス肺炎、習近平の指示はなぜ遅れたのか?>と重複する。

●2019年12月8日:最初の患者(原因不明肺炎)が武漢で発生。

●2019年12月26日:上海市公共衛生臨床センター科研プロジェクトが通常のサンプル収集として、プロジェクトの相手である武漢市中心医院と武漢市疾病制御センターから発熱患者のサンプルを入手し、精密に検査した。

●2019年12月29日:湖北省中西結合医院呼吸科・重症医学科主任の張継先医師が武漢の海鮮市場で働く人たちが数多く同類の肺炎に罹っていることを湖北省および武漢の衛生健康委員会疾病コントロール処に報告した。

●2019年12月30日午後5時:武漢市中心医院眼科医・李文亮がグループ内のチャットで「武漢の華南海鮮市場で7人のSARS(に類似した)患者が出た」と発信した。

●2019年12月30日午後8時:武漢の協和医院の腫瘍科の謝医師が、医師グループのチャットで「華南海鮮市場には行くな。あそこからSARSに似た病例が沢山出ている」と発信した。李文亮同様、医者グループ内の発信だったが、それが外部に漏れ、中国全土に急速な勢いで拡散していった。

●2019年12月31日午後2時:ネットで噂が広まってしまったことを受け、武漢市衛生健康委員会が原因不明の肺炎が発生し華南海鮮市場と関係していることが報告されており、27例の症例と重症7人開放退院例があるが、「人‐人感染」はなく、医者への伝染もない。従って「予防可能で制御可能である」と発表した。

●2019年12月31日:武漢市政府常務委員会会議が開催されたが、原因不明の肺炎に関しては一切触れてない。

●2020年1月1日:北京中央の国家衛生健康委員会は馬暁偉主任を組長とする疫病対策領導小組(指導グループ)を立ち上げ、武漢の調査に入ろうとした。

●2020年1月1日:ところが同日、武漢警察の公式ウェイボー(微博)「平安武漢」が武漢の医者らが訴えた情報は偽情報で社会の秩序を乱すとして8人を摘発したと報道した。

●2020年1月5日:上海市公共衛生臨床センター(および復旦大学関係者など)が武漢の原因不明の肺炎は、「歴史上見たことのない新型コロナウイルスが原因だ」と発表。

●2020年1月6日:武漢政府、問題は解決したとして武漢市の両会開催に入った。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

スペイン・バルセロナで再び抗議デモ、家賃引き下げと

ビジネス

欧州半導体業界、自動車向けレガシー半導体支援を要望

ワールド

焦点:ロシアの中距離弾道弾、西側に「ウクライナから

ワールド

豪BHP、チリの銅開発に110億ドル投資へ 供給不
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 2
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではなく「タイミング」である可能性【最新研究】
  • 3
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたまま飛行機が離陸体勢に...窓から女性が撮影した映像にネット震撼
  • 4
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 5
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳か…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    クルスク州のロシア軍司令部をウクライナがミサイル…
  • 9
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 10
    「典型的なママ脳だね」 ズボンを穿き忘れたまま外出…
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 4
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 10
    2人きりの部屋で「あそこに怖い男の子がいる」と訴え…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 6
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 7
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 8
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中