最新記事

新型肺炎

新型コロナウイルス不安で世界的なマスク不足、文化的認識の違いから衝突も

2020年2月3日(月)16時30分
松丸さとみ

ツァオさんのインスタグラム投稿を取り上げた米ビジネス誌フォーチュンは、中国を始めとする東アジアでは、新型肺炎の流行が始まる前からマスクは日常的なアイテムだったと指摘。空気汚染を避けるためや、にきびを隠すため、メイクをしていない顔を隠すため、などさまざまな理由でマスクが使われてきたと説明している。

これまでマスクをする習慣がほとんどなかったフランスだが、仏ウェブニュース「ザ・ローカル」によると現在は、パリの薬局で軒並みマスクが売り切れになっている。マスクを着用する人は増えてきているようで、パリ市民の新型肺炎への懸念がうかがえる。

マスクを寄付して武漢への連帯

こうした状況の中、マスクは「連帯」を示すアイテムとしても使われるようになってきたという。フォーチュン誌によると、NGOや中国系米国人などが、新型コロナウイルスの感染拡大の中心地であり、マスク不足に苦しんでいる武漢や湖北省の周辺地域にマスクを寄付する動きが出始めている。

BBCは、湖南省のある男性のケースを報じた。この男性は、勤め先のマスク製造工場を昨年辞めた際に、給料の代わりにマスクの現物支給を受けた。今回の新型肺炎拡大を受け、自分と家族、近隣の人たちの分を少し残し、1万5000枚ほどを武漢に寄付したという。

また、中国出身のスティーブン・チャン氏が会長を務めるイタリアのプロサッカーチーム「インテル」は1月31日、30万枚のマスクを武漢に寄付すると発表している


一方、イタリアのローマにある薬局は、自社で扱っているマスクが武漢で作られているものであることから、一部を残し、あとは武漢に送り返す予定であると欧州ニュース専門局ユーロニュースに話した。これらのマスクは、新型肺炎騒ぎが始まる数カ月前に注文したもので、今も毎日、武漢から到着している。しかし武漢側からマスクを返して欲しいという要請があったため、2000個ほどを薬局に残し、あとは送り返す予定だという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

FRB、一段の利下げ必要 ペースは緩やかに=シカゴ

ワールド

ゲーツ元議員、司法長官の指名辞退 売春疑惑で適性に

ワールド

ロシア、中距離弾でウクライナ攻撃 西側供与の長距離

ビジネス

FRBのQT継続に問題なし、準備預金残高なお「潤沢
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 5
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    若者を追い込む少子化社会、日本・韓国で強まる閉塞感
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 10
    中国富裕層の日本移住が増える訳......日本の医療制…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中