韓国・文在寅も心動かした「仁川のジャン・バルジャン」 その正体は?
ギャンブル依存はIR後発の日本にも?
韓国人は情に厚いというのは事実だ。筆者も韓国在住中に何度も韓国人の情に助けられた。実際に韓国人に接したことのある人なら、クッパをおごってくれた警官や20万ウォンを手渡してくれた市民がいたと聞いても、よくある人情話としてそれほど驚かないかもしれない。
しかし、それだけにその情を悪用しようとする人もいるのだろう。今回問題になった父親は嘘をついては友人たちから小銭を借りて、スポーツ宝くじやネットカフェでオンラインカジノなどギャンブルにつぎ込んでいたようだ。善意を利用し、人の気持ちを簡単に踏みにじりながらも、のめり込んでしまう姿にギャンブルの魔力の怖さを感じる。賭博中毒の恐ろしさを改めて浮き彫りにした事件だ。
また、これを韓国だけの問題と片付けることはできない。現在、日本ではIR(統合型リゾート)構想が進みつつある。賛否両論あるなか、もしもこのままカジノが定着してしまったら、ギャンブル依存症が増え、日本でも遠くない将来、第二の「偽ジャン・バルジャン」を生み出してしまうかもしれない。それでなくとも、すでに日本では非正規雇用者の貧困や貧富の差が問題になっている。政府は、入場回数の制限や、入場料の徴収などを定めていくとの発表をしているが、なるべく早いうちに具体的なギャンブル依存症への対策を策定すべきだろう。