ホラーをハッピーエンドで封じようとして......『シャイニング』の続編はコケた
Pleasing Two Masters
キューブリック作品を色濃く引き継いだのも、この終盤部分だ。ここに『ドクター・スリープ』が作られた理由があるはずなのに、なぜか接ぎ木に失敗したような、とってつけた感じが否めない。
前半に映画館から人物が歩み去る場面があり、背景に「『カサブランカ』上映中」の看板が映る。名画へのオマージュのようだが、『カサブランカ』は『ドクター・スリープ』にゴーサインを出したワーナー・ブラザースの作品。こちらもいつか不要な続編が作られないかと心配になる。
フラナガンはキューブリックの路線を引き継ぎながら、最後の最後でキングに従った。恐怖をハッピーエンドで封じ、悪霊は退治したと観客を安心させようとした。
だが悪霊は眠っているだけ。本当は虎視眈々と次の獲物を(そして続編を)狙っている。
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<本誌2019年12月10日号掲載>
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