セックス中の男女をMRIでスキャンした、クリスマスの特別な論文
Why Scientists Asked People to Have Sex in an MRI Machine 20 Years Ago
研究チームによれば、論文の完成までには何年もの時間と「天からの賜物(つまり25ミリグラムのバイアグラ2錠)」を必要としたし、望まない形で世間からの注目を集めたこともあった。だが苦労の甲斐あって「そうした画像の撮影が可能であることが判明するとともに、解剖学的知識も増えた」そうだ。
「芸術的・科学的好奇心として始まったものが現実のものとなったのだ」と研究チームは述べた。
この論文は2000年のイグ・ノーベル賞を受賞した。
BMJの副編集長だったトニー・ドゥラモットは今年のBMIのクリスマス号に、この論文が掲載されて20年を記念した文章を寄稿した。
この論文に臨床的・科学的に特別な意義があると考えた人は誰もいなかったが、当時の編集部は新しい技術であるMRIの画像が含まれていたため、読者の関心を集めるかも知れないと考えたと彼は言う。
「医学における月着陸に匹敵する偉業ではとうていなかった」にもかかわらずこれほど関心を集めたのは、パソコンの画面で、それも無料で見られるという読者の期待をかき立てたからかも知れないと彼は言う。
「今日、インターネットで見られるものの露骨さを思うと、そんな無垢な時代がかつてあったのが不思議なくらいだ。もし本当にそういう理由だったとすればだが」
生涯に一度の名誉
ドゥラモットはBMJのウェブ版の編集長も務めていたが、一風変わった論文を掲載することになっているクリスマス号にこの論文が載った経緯を本誌に語ってくれた。「研究者の中には、一生に一度でいいからクリスマス号に自分の論文を載せてもらおうと必死な人もいる」と彼は言う。
「私がウェブ版編集長だったとき、編集部ではどの論文にアクセスが集中するかを分析し、順位表を作っていた。毎回、トップはこのMRIの論文で、同僚の中には当惑する人もいた」とドゥラモットは言う。
(村井裕美)
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