トランプ氏、カナダ鉄鋼関税倍増を即日撤回 オンタリオ州の対応受け

トランプ米大統領は11日、カナダから米国に輸入される全ての鉄鋼とアルミニウムに追加的に25%の関税を課すよう商務長官に指示したと明らかにした。加オンタリオ州で1月撮影(2025年 ロイター/Carlos Osorio)
[ワシントン/オタワ 11日 ロイター] - トランプ米大統領は11日午後、カナダから輸入する鉄鋼とアルミニウムへの関税を50%に引き上げるとした午前の発言を撤回し、当初案の25%にすることを決めた。カナダ・オンタリオ州のフォード首相が電力輸出に対する追加料金の徴収を停止したことを受けた。
フォード氏は、米国への電力輸出に25%の追加料金を課す計画を一時停止し、トランプ政権と協議するため13日にワシントンを訪問すると述べた。
フォード氏はこの数時間前、トランプ氏がカナダからの輸入品に関税を課すという脅しを撤回しなければ全ての電力輸出を停止する用意があると米メディアに語っていた。
「双方の緊張が高まっているため、これを和らげる必要がある」とフォード氏は記者団に語り、ラトニック米商務長官から連絡を受けたことを明らかにした。
ホワイトハウスのデサイ報道官は「従来の大統領令に従い、例外や除外のない鉄鋼とアルミニウムに対する25%の関税が、3月12日午前0時からカナダと他の貿易相手国全てに適用される」と述べた。
一連の報道を受け、米国株式市場ではS&P総合500種が一時、2月19日に付けた終値での最高値から10%超下落し、調整局面に入る場面もあった。
トランプ氏は11日午前、全ての鉄鋼とアルミニウムに追加的に25%の関税を課すよう商務長官に指示したと明らかにしていた。そうなれば合計の関税率は50%になる。
カナダのオンタリオ州が今月10日、米国の関税措置への報復として、ニューヨーク、ミシガン、ミネソタの3州に供給する電力に25%の追加料金を課すと発表したことを受けた措置とした。
トランプ氏は自身の交流サイト(SNS)「トゥルース・ソーシャル」への投稿で、商務長官に追加的に25%の関税を対象製品に課すよう指示したとし、12日の朝に発効するとしていた。
その上で「カナダは米国の乳製品に課している250%から390%の関税を直ちに撤廃する必要がある。これは長い間、不当なものと見なされてきた」とし、「脅威にさらされている地域の電力に関する国家非常事態を間もなく宣言する」と表明。
カナダが「他の悪質で長期にわたる関税」を撤廃しなければ、米国がカナダから輸入する自動車に対する関税を4月2日に「大幅に引き上げる」と警告した。
また、市場は時間の経過とともに上下に振れるだろうと述べ、株価急落につながった懸念を否定。関税は米国の雇用を回復し、工場を再開させるために必要だと述べた。
こうしたトランプ氏の発言を受け、米市場ではアルミ現物価格が1トン当たり990ドルを突破し、最高値を更新した。
また、ホワイトハウスのレビット報道官は、カナダは米国への電力供給を停止しない方が賢明とした上で、トランプ氏は米国内の電力への依存を確実にすることを決意していると述べた。
また、カナダのカーニー次期首相は11日、トランプ氏による鉄鋼とアルミニウムに対する新たな関税はカナダの労働者、家庭、企業に対する「攻撃」と非難した。