ウクライナ、30日間の暫定停戦案受け入れ表明 米は軍事支援再開

米国はウクライナと11日にサウジアラビアで実施した高官協議で、ウクライナへの軍事支援と情報共有を直ちに再開することで合意した。写真はウクライナのゼレンスキー大統領。2024年12月撮影(2025年 ロイター/Roman Baluk)
Daphne Psaledakis Pesha Magid
[ジッダ(サウジアラビア)/ブリュッセル 11日 ロイター] - 米国はウクライナと11日にサウジアラビアで実施した高官協議で、ウクライナへの軍事支援と情報共有を直ちに再開することで合意した。両国が発表した共同声明によると、ウクライナはロシアと30日間の暫定停戦を巡る米国の提案を受け入れる用意があると表明した。
サウジアラビア西部のジッダで実施された協議には、米国からルビオ国務長官とウォルツ大統領補佐官(国家安全保障担当)、ウクライナからイェルマーク大統領府長官やシビハ外相らが参加。協議は8時間に及んだ。
ルビオ長官は共同声明発表後に記者団に対し「ボールは今やロシア側にある」とし、「トランプ米大統領はこの戦争がすでに終わっていることを望んでいた。ロシアができるだけ早く『イエス』と答え、実質的な交渉という次の段階に進めることを望んでいる」と述べた。
その上で、米国はロシアとウクライナが「可能な限りに早期に」合意することを望んでいるとした。
ウクライナのゼレンスキー大統領は「ウクライナにはこの提案を受け入れる用意がある。これを前向きな一歩と見なし、実行する準備ができている。ロシアにも同様の行動を取るよう説得するのは米国次第だ」とXに投稿。30日間の暫定停戦は、ロシアが受け入れれば直ちに発効するとの見解を示した。
ゼレンスキー氏はサウジアラビアに滞在していたが、協議には参加しなかった。
ロシアがどう反応するかは定かではない。
ロシアのプーチン大統領は和平協議には前向きな姿勢を示しているが、停戦には反対で、ロシアの「長期的な安全保障」を確保する協定を求めると繰り返し表明している。また、領土について譲歩の可能性を否定し、ロシアが併合を宣言し部分的に支配する4地域からウクライナが完全撤退することを求めている。
トランプ大統領は、米とウクライナの当局者が作成した停戦計画にロシアが同意することを期待しており、週内にプーチン大統領と協議する考えを示した。
ルビオ長官によると、停戦に向けた計画は複数の経路を通じロシア側に伝えられる。ウォルツ補佐官は、数日中にロシア側と協議する予定とした。
ロシア国営通信RIAによると、ロシア外務省は今後数日中に米国の代表と接触する可能性を排除しないと明らかにした。
共同声明によると、ウクライナはロシアによる受諾と実施を条件に、双方が合意すれば延長が可能で、即時かつ暫定的な30日間の停戦に関する米国の提案を受け入れる意思があると表明した。
共同声明は「米国はロシアに対し、相互に対応することが平和達成の鍵になると伝える」と記述。「米国は(ウクライナに対する)情報共有の一時停止を直ちに解除し、ウクライナへの軍事支援を再開する」とも明記した。
ウクライナ当局者は11日夜、米国の軍事支援と情報共有が再開されたと発表した。
米国とウクライナは、ウクライナの重要鉱物資源開発に関する包括的合意を可能な限り早期に締結することでも合意。米国務省によると、両国の代表団はそれぞれの交渉チームを指名し、ウクライナの長期的な安全保障の確保につながる永続的な和平に向けた交渉を直ちに開始する。
ゼレンスキー氏は米国との鉱物資源協定について、両国は合意の最終化に向けて取り組むと表明した。
ゼレンスキー氏の側近によると、今回の高官協議でウクライナに対する安全保証の選択肢も議題として取り上げられた。ただ、どのような選択肢が提示されたか詳細は明らかにしなかった。
欧州連合(EU)のコスタ大統領と欧州委員会のフォンデアライエン委員長は、停戦合意の提案を含む米国とウクライナの高官協議の結果を歓迎すると表明。「ウクライナにとって包括的で公正かつ永続的な平和への一歩となる前向きな進展で、ボールは今やロシア側にある」とし、EUはパートナーと共に今後の和平交渉で十分な役割を果たす用意があると述べた。