経済力で「地政学的」パワーを得ようとするEUの勘違い
WHAT EU “GEOPOLITICAL” POWER WILL COST
EUが地政学的目的のために経済的手段を活用できると考えられる分野は開発援助だ。EUとしての援助額が世界4位の規模である上に、EU加盟各国全体でその5倍に上る額を援助に費やしている。
EUの主なODA対象国であるシリアやアフガニスタン、エチオピア、ソマリアは難民・移民の多くを送り出す国でもある。これらの国の経済的繁栄に手を貸すことはEUにとって大きな利益になるが、汚職や経済的管理ミスのせいで発展は進まない。
一方、地政学的重要度がより低いほかの国にEUが援助を行えば、極めてポジティブな影響を与えられる可能性がある。そうした国にカネを振り向けなければ、EUの開発援助が持つ効果は減少する。
EUは経済面で今も米中と肩を並べるレベルにある。だからこそ、経済力を活用すれば地政学的パワーが手に入るのではないかと思いたがる。だが、そのためにはEUの核をなす原則を捨て去らなければならないだろう。果たして、そこまでする価値があるのだろうか?
<本誌2019年12月24日号掲載>
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