2020年は米軍を巻き込む危機が最も起きやすい年に
New Report Predicts 2020 Conflicts in Middle East, Pacific, U.S. and More
アメリカが海外で終わりなき軍事介入を続けている間に中ロが台頭している(写真はシリアで訓練する米海兵隊員) SPECIALIST ALEC DIONNE/COMBINED JOINT TASK FORCE - OPERATION INHERENT RESOLVE/U.S. ARMY
<過去10年と比べても、世界はより危なくなった。トランプが「最大限の圧力」政策を振り回したせいもあるし、中ロが台頭してきたせいもあるが>
米外交問題評議会(CFR)の予防行動センターは12月18日、2020年度の「予防優先順位報告書」を発表した。世界各地で紛争が起こる可能性やその深刻さを予測したものだ。それによれば2020年は、過去10年に比べてどの年よりも、米軍が対応を迫られるような危機が起きやすいと警告した。
報告書は、外交の専門家500人が「現在進行中の紛争、および今後起きる可能性がある紛争の見通しとアメリカの国益への影響」を評価しまとめたもので、2020年は世界が歴史的レベルの騒乱に揺れ、米政府の外交目標にも影響を及ぼしかねないと指摘している。
「調査に回答した専門家たちは、過去7年間の調査に比べて、より多くの脅威が米軍の対応を必要とする可能性が高いと評価した。世界情勢が不安定化している結果だ」と、予防行動センターのポール・B・ステアーズ所長とジョン・W・ベッシーJrは報告書で結論づけた。「懸念すべき30の紛争のうち、2020年に実際に起きる可能性は低いと判断されたのは2つだけ」で、とくにアメリカのテロ対策を担う国土安全保障に対する脅威が最も大きい」
トランプの強引な政策が裏目に?
ドナルド・トランプ米政権は2019年、イラン・北朝鮮・ベネズエラの3カ国に対して、いわゆる「最大限の圧力」をかけ続け、いずれの国も降参するどころかますます態度を硬化させている。アメリカと中国・ロシアという大国同士の関係も悪化して世界の安定が損なわれるなか、東欧や西欧で大規模な紛争が起こる懸念も高まっている。
報告書の中でアメリカにとって最大の脅威として挙げられたのが、発生リスクは「中程度」だが衝撃度は「高い」複数のシナリオ。このうち米国内で発生し得るシナリオは2つで、ひとつは「選挙システムなどのインフラに対するサイバー攻撃」、もうひとつは「米国または同盟国に大勢の死傷者を出すテロ攻撃」だ。
海外でのシナリオには、アジア地域における3つの潜在的脅威が含まれる。一つ目は「イランとアメリカまたはその同盟国の武力衝突」、二つ目は「北朝鮮の核ミサイル危機」、三つ目は「南シナ海における中国と周辺国の武力衝突」だ。
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