プロレスで夢をかなえた家族の絆『ファイティング・ファミリー』

妹はスターで、兄は失格。当然、兄妹の関係は微妙なものになる。しかし兄は、それを学びの機会に変えていく。「夢を打ち砕かれても、ザックは自力で立ち直る。多くのハードルを乗り越えてね」とロウデンは言う。

共演のレナ・ヘディやビンス・ボーンの飛ばす機知にとんだジョークには、ザックとペイジの直面する現実の痛みを和らげる効果がある。しかし、やっぱり頼りになるのは家族だ。彼らがいつも励まし合う姿は実に美しい。

「素材がよかった。特に家族の話が素晴らしくて、別にプロレスの話でなくてもよかったと思う」。マーチャントはそう言う。「この映画を見た人が最初は笑い、最後は泣いてくれたら本望だな」

＜本誌2019年12月3日号掲載＞