金正恩、核の進化に自信深め強気に転換 米国でのトランプ弾劾も後押しか
中国と劇的に関係改善
国連制裁は維持されているのものの、中国と貿易は増えつつあるようにみえる。北京と平壌の政治的関係は劇的に改善している。
金委員長と中国の習近平国家主席は複数回会い、両政府の関係者が行き来している。
北朝鮮をモニターしているコリア・リスク・グループの調査によると、過去1年間で中国人観光客が大量に北朝鮮を訪れており、それが平壌の大きな資金源になっているという。
今年は35万人の中国人旅行客が北朝鮮を訪れたと、コリア・リスク・グループのチャド・オキャロル氏は推計する。北朝鮮政府に1億7500万ドルの収入をもたらした可能性があるという。
2016年に閉鎖された韓国との合同事業、開城工業団地から得られる収入より多い、とオキャロル氏は話す。金委員長が工業団地への関心を低下させているのは、おそらくこれが理由の1つだという。
米国と韓国は、今年2月にベトナムのハノイで開かれた2度目の米朝首脳会談が不調に終わった後、北朝鮮への妥協案として、開城の再開ではなく観光を提案したと、前出の外交官は明かす。
「いつでも制裁を元に戻せるようにしておく必要があると、誰もが考えたからだ。120以上の工場が再稼動してしまえば、すぐに閉鎖してまた引き揚げるには難しい」
国連の報告によれば、北朝鮮は制裁の多くをうまく逃れている。サイバー攻撃で最大20億ドルを盗んだとみられている。
「スウェーデン政府は、北朝鮮には『中国の安全弁』もあると示唆している。つまり、制裁を緩めるという合意だ」と、ジョージ・メイソンのアブラハミアン氏は言う。「実際に望んでいる以上にトランプ氏が勝利を切望していると北朝鮮が計算違いし、ディールを結ぼうとせず、交渉の扉が失われてしまうことを懸念している」
北朝鮮がつけた自信
トランプ大統領と金委員長の2回目の首脳会談は、どちらも譲らず、突然物別れに終わった。北朝鮮は幅広い制裁緩和を求め、米国は非核化に向けて具体的に動くよう主張した。
「非核化の道を行く金委員長の歩みが正しいのかどうか、ハノイでの失敗が北朝鮮内で議論を呼び起こしたのは明らかだ」と、米スティムソンセンターのシニアフェロー、ジョエル・ウィット氏は言う。
米国や韓国がさらに譲歩するまで交渉は避けたがっているようにみえると、ウィット氏は指摘する。
専門家は、ようやく手に入れた核兵器を金委員長が放棄することに懐疑的で、限定的な軍縮も難しくなりつつあると考えている。
「北朝鮮は、核兵器が質的にも量的にも前に進んだという自信をつけた。さらに要求を強め、厳しい態度で臨み、バーを上げてくるだろう」と、ワシントンにあるセンター・フォー・ニュー・アメリカン・セキュリティのDuyeon Kim氏は指摘する。
[ソウル 1日 ロイター]
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