ウイグル民族の文化が地上から消される
Cultural Genocide in Xinjiang
中国政府系シンクタンクの新疆社会科学院も例外ではない。200人を超える職員の中で、ウイグル人研究者は数人しかいなかったが、そのほとんど(在外ウイグル人組織が把握しているだけで5人)が拘束されている、と伝えられている。
著名なコンピュータープログラマーのアリム・エヘット(46)も行方不明だ。北京理工大学を卒業後、イースト・ロンドン大学に留学。ウイグル語・カザフ語・キルギス語のフォントや文章入力用キーボード、校正ツール、電子辞書を開発し、ウイグル人社会のIT化に最も貢献した人物として知られる。
誰もがウイグル人に生きる希望を与え、ウイグル人の文化が消滅しないよう先頭に立って尽力してきた人々だ。共産党の厳しい検閲をクリアして出版されてきたものが一転して有害書籍とされ、生涯かけて研究や表現活動をしてきた人々が、国家分裂主義者として死刑判決を受ける。極端な思想も、当局への抵抗意識も持っていないからこそ活躍の場を与えられていた知識人らが、「両面人」のレッテルを貼られ拘束されている。
「兄のような知識人を一掃すれば、再び育てるまでに30年から40年はかかる。逆に言えば、自治区は30年間静かになる」と、タシポラット・ティップの弟で現在はアメリカに暮らすヌーリ・ティップはかつて語った。少数民族文化を「抹殺」しようとした文化大革命から既に半世紀を経ていながら、共産党は当時と同じ過ちを繰り返している。
共産党によって押し込められた「ウイグル社会の宝」は今、劣悪な強制収容所の中で消えようとしている。
<本誌2019年10月1日号掲載>
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